「クレームはお客様からの最大の贈り物」
大久保さんは『仕事のための12の基礎力』の中で以下のストレス対処方法(ストレスコーピング)を教えてくれている。- 消極的ストレス解消法
- あきらめる。
- 忘れる。
- 他人のせいにする。
- 気分転換する。
- 積極的ストレス解消法
- ストレスの原因を取り除く…人間関係なら、それを修復すること。とても難しい。
- ストレスの原因を分析し、反省した上で、次に繋げる。
- ストレスの原因を誰かに聞いてもらい、アドバイスをもらう。…愚痴をこぼすのではなく、専門家に相談すること。
- ポジティブシンキング
「『クレームはお客様からの最大の贈り物』。つまりお客様はこちらの欠陥を見抜き、わざわざご指摘くださっているのだから、心から真摯に受け止め感謝しなくてはならない。(中略)クレームは大切な情報源と、感謝すべきである。」(出典:『サービス哲学』窪山哲雄)
テレビドラマ『ホテル』の東堂マネージャーのモデルにもなった、窪山さんの言葉は、上記の積極的ストレス解消法のひとつ、「ストレスの原因を分析し、反省した上で、次に繋げる」ことを意味している。さて、消極的ストレス解消法はどうか。
「サービス業では、クレームが発生した場合、謝罪表明をプレゼントや料金の割引、あるいは無料にするという取り計らいで代行することが多々ある。このような処置はお互いがわかりやすいし、ごく短時間で完了させられる。(中略)しかし、このような短絡的な処理では、お客様は次にまたお金を払って来ようとは決して思わないだろう。(中略)お客様の傷ついた心情は、金銭では癒せない。あくまでもサービス側の心でカバーしなければならないのであり、それが筋というものである。」(出典:『サービス哲学』窪山哲雄)
金銭で解決する方法は、消極的ストレス解消法の「あきらめる」「他人のせいにする」に近い方法だろう。窪山さんはそれではダメだと語る。傷ついた心は心でしか癒せないのだから。もちろん、常に積極的ストレス解消法を用いるのはしんどいことだ。たまにラクチンな消極的ストレス解消法を併用するのは可だろう。でも消極的ストレス解消法ばかり活用しては、決して心は鍛えられない。つまり「楽天力」は身に付かないということを、窪山さんは教えてくれているのだ。
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