大学生の就職活動/就職活動の選考対策

就活自己PR公開添削 電機メーカー(2ページ目)

稀有な資格や経験を用いて自己PRするならば、単にその資格や経験で得た精神力を伝えても仕方ない。その力を具体的に志望会社での仕事に繋げれば、ライバルは君を凌ぐことはできない。

執筆者:見舘 好隆

資格取得を通して精神力をPRするより、
具体的にそのスキルを志望会社の業務に繋げよう

さて、公開添削です!
    • タイトル:
      「超回復力」
       
    • 本文:
      一昨年、私は合格率2%台の司法書士試験一発合格を志しました。ところが試験前に右手を骨折。三ヵ月間のギブス生活に。更に失恋。体重は10kg減りました。しかし「試練は乗り越えるためにあるんだ」と考え、左手でノートテイクも模試もこなしました。そして目標達成。例え打ちのめされても筋肉のように超回復します。
      (ペンネーム:シャチョー)

    • ところで、伝えたいことは何だろうか?
      超難関の司法書士試験を一発合格したことと、それを試験前に骨折したけど達成したことが並列されている。“超回復力”が「伝えたいこと」なら、例えば「通常半年は治療に要する怪我が3ヶ月で治った」ことを伝えなくては筋が通らないよ。このエピソードであれば、怪我をしてでもやり抜いた「目標へ邁進する集中力」「逆境に臆しない精神力」を伝えた方がいいと思うけど、どうかな?
       
    • 余計な言葉を削ろう!
      “更に失恋”“体重は10kg減りました”は、シャチョーさんが人事に伝えたい「超回復力」に必要なことでしょうか? 人事が失恋における回復力に期待するとは思えないし、となると失恋で10キロ痩せた事実は必要ない。
       
    • 抽象的な名詞は伝わらない!
      “筋肉のように”とあるが、筋肉は「回復力」を最も表現するにふさわしい言葉なのかな? わざわざ最後の決め台詞に抽象的な言葉を使って、曖昧にする必要は無い。
       
    • 「合格率2%台の司法書士試験一発合格」した熱意は、どこに行ったのか?
      まず、この言葉を読んで電機メーカーの人事はどう思うだろうか? 折角難関を突破したのなら、その資格を活用して司法書士として独立するか、司法書士事務所に就職して経験を積み人脈を得たほうが良いと考えると思う。試験前に怪我をしても合格した熱意の源泉は何だろう。司法書士を目指したからじゃなかったのか? それとも途中で針路変更したのか? 人事には分からない。
       
    • なぜ司法書士にならず、弊社への入社を希望するのか?
      「いえいえ、司法書士にはなりません。御社に入社したいのです!」と答えたとする。すると人事は当然「なぜ司法書士にならず、電機メーカーである弊社への就職を希望するのか?」と思うでしょう。その説明がなければ、人事は疑問を抱えたまま面接をすることになります。
       
    • 伝えたい力を、仕事につなげることはできないのか?
      例えば、「難関資格を怪我をもろともせず突破したこの精神力を評価して欲しいんです!」としよう。さて今度は、その力をどう仕事に活用するのでしょうか? 人事でそれは考えるべきことなのだろうか? それは違う。シャチョーさんが提案できなくてはいけない。そのためにも先輩訪問をガンガンして、その精神力は具体的にどのように仕事に生かせるのか、そしてその力はどのように表現すれば人事に伝わるのかを相談するべきでしょう。このままでは「多分仕事に役立つ力だ!」とシャチョーさんが思っているだけになる。そこにリアリティがなければ、多分人事は「なるほど、よく頑張ったね!」と一言つぶやき、そこから前に話は進まない。
      ※参考記事:「フィージビリティ・スタディ」
       
    • 精神力ではなく、資格自体を志望会社の業務に直接活かすことはできないのか?
      会社には法務という部署がある。特許申請や契約時のリーガルチェック、裁判、新会社立ち上げの登記業務などなど。もしかしたらシャチョーさんのスキルを必要としている部署があるかもしれない。また、司法書士の資格を取得する際に身につけた知識を、営業や企画に生かせる可能性もある。志望会社の先輩やその資格を持つ社会人にどんどん質問をして、ヒントを探そう。
      ※参考記事:「フィージビリティ・スタディ」
       
    • ところで、何がやりたいのかな?
      仮に「超回復力」があることがスムースに人事に伝わったとしよう。ではその後、どう話を続ければいいのだろうか。ハードな職場を求めているのかな? それなら別にうちの会社じゃなくてもいいのでは?と人事は思うだろう。具体的に「超回復力」を用いてやりたい仕事を伝えない限り、「超回復力」を伝える意味は無い。それに続く「やりたい仕事」を具体的に語らなくてはいけない。


シャチョーさんの資格が合格率2%なら、その資格を持つライバルは少ないでしょう。もしそうならその稀有なスキルを仕事につなげることができれば、かなり強力な武器になる。

でも単なる「超回復力」に留まれば、体育会系クラブで実績を持つ学生や、アルバイトをかなり実務経験を持った学生に同じような「タフさ」を自己PRされたら、負けるかもしれない。

折角超難関資格を取ったのだから、それを活かさない手は無い。

だからこそポイントは、「具体的にそのスキルを志望会社の業務に繋げる」ことだ。


それをクリアすれば、君にライバルはいない。



※もっと長いキャリアプランを考えると、会社で得た専門知識を将来の司法書士開業に生かすことも考えていいかもしれない。つまり、目先の就職だけじゃなく、将来のシャチョーさんの飛躍も視野に入れてみてもいいかもしれないよ。

「自己PR公開添削講座【その1】」はこちら!
「自己PR公開添削講座【その3】」はこちら!
「自己PR公開添削講座【その4】」はこちら!
※過去に開催した「自己PR添削講座!」はこちら!
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