「全店舗制覇」で2馬身リード!
本社訪問の帰り道、私は彼女に聞いてみた。「もちろん、A社が経営しているお店は行ったよな。」
彼女は少しふくれる。
「店舗訪問は基本ですよ!自由ヶ丘店と、代官山店に行ったよ」
「あと何店舗あるの?」
「都内に全部で9店舗だから、あと7店舗」
時計を見る。まだ12時。
「じゃあ、その7店舗に今からまわるぞ」
「ええー!今から7店舗も。…そんなにまわる必要あるの?」
「あるから行くのさ。ポイントは3つある。」
駅が見えてきた。
「一つ目は“弱点を作らないこと”。もし明日の面接がグループ面接で、隣の学生が“3店舗まわりました”と言ったらどうする? それで精神的に負けちゃう。個人面接だとしても明確な比較対象を面接官に与えてしまう。もちろん全店舗まわったライバルなんていないかもしれない。でも一人いるかもしれない。そんな弱点なんて、作っちゃいけない」
私は会社案内を見た。ここから近いまだ未開拓の店は表参道だ。パスネットを買った。
「二つ目は本社に行ったことと同様、“全店舗訪問した自分に自信を持つこと”。あと7店舗まわるだけで、手に入れることができる自信は、きっと明日の君を強くする。だって、考えてみてごらん。明日、何人受ける?」
「えーと、…わかんない」
「じゃあ仮に300人だとしよう。明日の面接で5分の1に絞るとしよう。60人だ。さて、本社および全店舗まわった学生は、300人のうち何人いるだろうか?」
「10人もいないと思う」
「もしそうなら、必ず一次面接は通ると思わないかい?」
確率的には確かにそうだ。彼女は大きく頷く。どうやら納得したようだ。彼女もパスネットを買い、電車に乗り込んだ。
「ねえ、全店舗めぐりの3つめのポイントは?」
「それは、現地で実践するよ」
流れる車窓を見ながら、私はつぶやいた。
※応募数や採用予定数、1次で何人落とすのかなどの情報は、面接前に人事や先輩に聞いておくとよい。もちろん聞いたところでどうしようもないけど、その会社の人気と、面接の難しさを推し量ることができる。
※やたら受験者数が多い場合、“とりあえず的”な準備不足受験者も多く、面接時間も少ないので、やることをやれば、差を付けることは簡単。書類選考や一次面接、筆記を突破することは容易い。
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