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お金を払っても、経費にならない?(3ページ目)

仕事上「お金を支払うこと」は、これ即ち「費用の発生」とお考えの方は多いかと思います。でも、この考え方は、ちょっと危険をはらんでいます。会計や税務の世界では一体何を持って「費用」というのでしょうか?

執筆者:森 康博


社長!どうやら「作戦失敗」のようです……

社長が頑張って考えた節税案を実行した場合、以下の処理となります。

  1. 仕入れた商品のうち決算までに売れなかったものは、費用とできない (「仕入(費用)」に対応する「売上(収益)」が計上されていない)
  2. 来期以降に行われる行事の支出は費用とできない(まだサービスを受けていないし、「費用」と「期間」が対応していない)
  3. 来期の仕事の請求書は費用と出来ない(まだサービスを受けていないし、対応する「収益」も未計上)

残念ながら、いずれも今回の決算では費用と出来ないようです。
1.の商品は決算上「棚卸資産」として計上し、売れたときに費用化していきます。2.は決算上「前払費用」として処理し、実際に行事を開催したとき、ようやく費用となります。3.は決算上、何も処理をする必要はありません。翌期、請求書にある仕事が完了したら、費用となります。

会計の「大原則」を覚えておこう

しゃちょー
会社を守りつつ、育てていくのは経営者の役目。
経営者には「経理の知識」も求められるのです。
会計上も税務上も「費用となるかどうか」は「金銭の支払」や「請求書の有無」で決まるのではなく「実際にモノを消費したり、サービスを受けたか」「対応する収益や期間であるか」によって決まります。
いずれも会計の「大原則」のひとつですので、必ず覚えておきましょう。

また、節税を検討する場合には「いくらのお金が出ていくか」を考える必要があります。
節税のための支出も、税金の納付も、「会社からお金が出ていく」ということに変わりはありません。
「節税しなかったほうが会社にお金が残ったかも……」などという節税対策ならば、いっそのことやらないほうがマシ、といった場合もあるのです。
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