「現金がある」って、良いことですか?
「自分の」現金なら大歓迎ですが、「他人の」現金となると、とたんに厄介者に早変わりしてしまいます。 |
突然ですが「現金」って聞くと、みなさんはどんなイメージをお持ちになるでしょうか?
「たくさんあれば、一生働かないで済むぜ!」
「お金にはそんなにこだわる方じゃないけれど、あるに越したことはないワ」
きっと、多くの方は、現金に対してプラスのイメージをお持ちのことでしょう。……でも、それは「自分のお金だったら」という前提ではありませんか?
もし、他人のお金をいきなり目の前に積まれ、「これ、預かっといて」と言われてしまったらどうでしょうか?私だったら、ちょっとゴメンですね。無くしてしまったら大変だし、全然気が休まらないですから。
これは私だけでは無いようです。「経理の仕事」をやっているみなさんの新人時代のお話を伺うと必ず出てくるのが「現金の取り扱い」のこと。ある人は、支払いが大の苦手だったそうです。「数十万円のお金を持って、銀行の窓口へ行く」それだけのことなのですが、「誰かに襲われないか」「お金なくしたらどうしよう」と、気が気でなくなり、生きた心地がしなかったとか。
「そんな、大げさなー!」とお思いの方もいらっしゃると思いますが、「他人のお金」ほど、扱うのに面倒で厄介なものはないのです。もちろん「会社のお金」も他人のお金。同じことです。
今回は、「現金」そして、その「怖さ」についてお話していきます。
「現金」の特徴を知ろう!
ちっちゃい子のおつかいも、現金があってこそのものなのかもしれませんね。 |
■「現金」とは一体何を指すのでしょう?
「現金」とは「現金通貨」のこと。つまり、現に(手許に)ある通貨、という意味です。一万円札などのお札や500円玉などの硬貨のことを思い浮かべればよいでしょう(簿記を勉強した方であれば、他人振出の小切手なども「現金」として処理していることと思いますが、今回は「現金通貨」のことを考えていきます)。
■「現金」の特徴とは何でしょう?
●誰でもすぐに使えちゃう!
預金であれば、印鑑や身分証明書などを持って銀行へ行かねばなりませんし、引出しにはキャッシュカードが必要です。それに対して、現金は持っている人が誰でも使えてしまいます。少し前、ちっちゃな子がお使いに行く人気番組がありましたが、社会的な信頼があまり大きいとは言えないちっちゃな子でも、あのとおり当たり前のように現金が通用するのです。
●小さくて持ち運びに便利
「昔の現金」というと、マンガに出てくる石器時代の丸くて大きい石のお金、あるいは江戸時代あたりの大判・小判を思い浮かべる方がいらっしゃるでしょう。でも、いまの現金はそれに比べると軽くて小さく、持ち運びに便利になってきていると言えます。
●履歴が残りにくい(残らない)
現金は「すぐに使える」かわりに、「履歴が残りにくい」という欠点があります。紙幣であれば番号が打ってあり、その気になれば管理できそうですが、多額の現金を輸送するときなど以外は管理されていないというのが現実ではないでしょうか。コンビニでいちいちお客さんの紙幣の番号を管理している姿は見たことがないし、みなさんの会社でもしないですよね。
預金ならば通帳を見れば「あそこから振込まれた」「あそこへ振込んだ」「現金を引き出した」などはすぐに分かります。それに対して「どこから来た現金で、それがどこへ行ったか」、その足跡が残らないのも特徴といえます。
以上が、現金の大まかな特徴です。