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給与の手取り、減ったのはどうして?(2ページ目)

もう少し経つと「給与の手取りが減ったんだけど、間違えてない?」という質問が経理に殺到してくるはず。でも慌てないで!その原因は「住民税の改正」によるところが多いはず。改正内容について、簡単に解説します。

執筆者:森 康博

定率減税、ちっちゃくなっちゃった……

楽しかったあの日
定率減税がちっちゃくなっちゃうと、必然的にお父さんのおこづかいもちっちゃくなってしまう?ああ、無常ナリ。

前の年と比べて給与収入や所得控除が変わっていないのに、住民税が増えたという場合、その理由はズバリ「定率減税の縮小」によるところが大きいでしょう。今までは景気が悪いこともあって、住民税額の15%(4万円限度)が減税されていましたが、今回は住民税額の7.5%(2万円限度)の減税と、その幅が縮小されてしまっています。
仮に今まで4万円の減税を受けていたとしたら、今年は2万円しか減税を受けられないということ。年間ベースで差し引き2万円、手取りが減るわけです。月に直せば1,600円程度ですが、おこづかいの少ないお父さんにはちょっとダメージがありそうです。

定率減税は全員が受けられる特例だったので、今回は必ずみなさんにも影響が出ているはず。あなたも、確認してみてくださいね。

その他、ご夫婦の場合は今まで非課税だった配偶者の均等割が課税されるようになりましたので、一年間で2千円均等割が増えているはずです。

他にも住民税が多くなってしまう方向への改正がいくつか行われましたが、比較的高齢の方に影響のある改正でしたので、サラリーマンの方々に関係のあるのは、これら2点でしょう。
「定率減税が半分になってしまったこと」「配偶者の均等割の負担が増えたこと」これらを知っておけば、必要以上にアタフタしないで済むのではないでしょうか。

上記以外で税額が増えた場合、それは収入が増えたか、「所得控除」つまり、個人的な事情の変化があったかのいずれかです。前年の数字と比較検討してみる必要が出てくることと思います。


「源泉徴収」のワナ

やったるで
きっかけがあるたびに問題意識を持つクセをつけること。そこから始めていきましょう。

今回の件で、みなさんが「住民税が増えたのは定率減税のせい」と説明すれば、きっとほとんどの方が「ああ、アレねー」と納得してくれることでしょう。また、この記事を読んで「そんなの、知ってたよー」とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。たしかに一時は新聞やニュースで「定率減税の縮小・廃止」が盛んに報道されていたので、知識としてはご存知だった方が多いかと思います。
でも、その知識があるというのに、いざ給与の手取りが減ってしまって初めて「どうしてー!?」と怒りがこみあげてきてしまう……それは、税に対するせっかくの知識が、肝心の自分の給与にどう影響するか、具体的なイメージとして結びついていないからでしょう。

では、なぜ結びつかないのでしょうか?それは、サラリーマンのうちかなりの人が「年末調整」により税金の額を計算してもらい、「源泉徴収」により納税をしている、というところに大きな原因があるようです。

「年末調整」で本人が自分自身で確定申告をする代わりに会社に税金を計算してもらい、「源泉徴収」で給与天引きで税金を会社から納めてもらう。自分で税金の計算をしたことがなければ、その問題点を身近に感じることもできませんし、また、自分でお金を持っていって納税しないので「たくさんの税金を払っている」という実感も湧きようがありません。

たしかに、税金を計算するのは面倒だし、わざわざ税金を払いに行く時間はもったいないかもしれません。でも、それと引換えにサラリーマンのみなさんは「税金のことを考える機会」を奪われてしまっているとも言えるのです。

税金を納めることは国民の義務のうちの1つです。そんなに大切なことなのに、実はあまりそのことを実感として知らない。知らず知らずのうちにお金だけ支払っている。これはとても不幸で恐ろしいことだと思いませんか?

常日頃から税金のことを考えるようにすれば良いかもしれませんが、それでは仕事や遊びどころではありませんよね。今回のように住民税の額が変わったときなど、ふとしたきっかけがあるときに、その税に対する疑問について、自分なりに調べたり考えたりするクセをつけるところから始めてはいかがでしょうか?


【関連リンク】
「平成18年身近な税制改正<1>」
(All About 暮らしの税金)    
「税額計算シミュレーション」
(北海道のページ。平成17年の確定申告書の控えまたは源泉徴収票があれば、平成18年のおおよその住民税額を計算できます!)    
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