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結婚式に呼ばれたら?(ご祝儀の取り扱い)(2ページ目)

いよいよブライダルシーズンへ突入!そうすると避けて通れないのが「ご祝儀」です。その金額はもちろんのこと、経理方法にも気をつけないといけないポイントをご紹介します。これで、後はかくし芸の練習だけですね!

執筆者:森 康博

ご祝儀をいくらにするか?


ご祝儀の支払い、なぜ、「あらかじめ」申請してもらう必要があるのでしょうか?それは、「金額を決めるのにも慎重にならないといけない」からです。特に自分の会社の役員や社員にご祝儀を支払う場合、金額によっては税務上の取り扱いが変わってくる場合があります。
支払先別に、ご祝儀の金額の決め方とその経理処理方法を見ていくと……

【自社の役員や従業員の場合】
まず金額ですが、税務上「世間一般の相場金額」の範囲内であれば「経費」として認められます。「常識の範囲内でやってください」ということでしょう。
でも、「世間一般の相場金額」って何でしょう?難しいですよね。これは税務署に聞いても「いくらにしてください」とは教えてくれません。なぜなら、そうすると税務署がご祝儀の相場を決めてしまうことになってしまうからです。税務署はご祝儀の相場を決めるところではなく、税金についての仕事をするところですから、もちろん、そのような権限はありません。
書籍やインターネットなどで調べてみれば相場が出ているでしょうから、そちらを参考にすると良いでしょう。その際は、相場の載っているページを保存しておくようにしてください。また、あくまで参考ですからその金額に縛られず、少しならばその金額を超えても問題ないでしょう。

もう1つ金額面での注意事項があります。それは、「社内の人間で公平な基準にすること」ということです。「同じ社員なのに普通の人が3万円で、社員でも社長の息子だから30万円」というのは税務上認められないということ。あらかじめ、「一定の基準」で社内規定等で金額を決めておく必要があります。「一定の基準」ですが、役職や勤続年数等、その会社ごとに決めればよいと思います。

仮に「世間相場から多い」と税務署に言われてしまった場合、これらは税務上、もらった人の「ボーナス」として扱われてしまいます。ボーナスとなってしまうと、もらった人に対して源泉所得税が発生してしまいますし、また、その人が役員だった場合、法人税の計算上も経費に出来ません。まさか、いったんあげたご祝儀を「源泉税分だけ、返してチョ」なんて言えませんよね。

経理上、自社役員や社員のご祝儀は「福利厚生費」で処理すればよいでしょう。消費税はかかりませんので、会計ソフトへの入力はご注意を!
写真名
ご祝儀の相場って難しいですよね。支払いすぎても問題になる場合が!


【得意先等の場合】
金額の決め方は、【自社の役員や従業員の場合】と同様、「世間相場」を参考に、「一定の基準」に従って支払うようにしたほうが良いでしょう。得意先等に支払うご祝儀は、税務上は基本的に経費と認めてくれません(個人事業の場合は、世間相場の範囲内でなら経費と認めてくれます)。
「どうせ経費に認めてもらえないなら、いくら出しても同じジャン!」そう思う人もいらっしゃるかもしれません。ただ、無理して「世間相場」以上にご祝儀を出すのもどうかと思います。それは、「実際に会社からお金が出て行ってしまう」などの弊害もあるからです。
会社の見栄だけで何十万円もご祝儀を支払うのは、会社の資金繰りを悪化させてしまいます。また、特定の人だけに多額のご祝儀を支出していると、税務調査のときにご祝儀をもらった本人に確認がいく場合があります。これっていかがなものでしょうか?
「世間相場」を参考にするのは、経営管理上も必要なことなのです。

経理上、得意先等へのご祝儀は「交際接待費」で処理してください。消費税は、かかりません。

上記いずれの場合でも、単に「知り合い」とか「友人」である人に対して支出するご祝儀は、そもそも経費ではなく、プライベートな支出ですので、決して会社や個人事業の経費にはなりません。このあたりも確認する必要がありますね。

以上、「あらかじめ」ご祝儀の申請をしてもらうのは、「金額のチェックや、その支出の妥当性を検討する必要があるから」ということ、お分かりになっていただけましたでしょうか。後から「テキトーに払っちゃったけど、どうしよう」と言われたのでは困ってしまうことが多いのです。

次のページでまとめと、ご祝儀相場の参考サイトをご紹介します。


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