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現金のヒミツ(2ページ目)

今回から「実務解説!勘定科目のヒミツ」シリーズが始まります!実務を行ううえで気をつけるべき点を勘定科目」ごとに、会計・税務の両面から解説していきます。第1回目の今回は、お馴染みの「現金」です。

執筆者:森 康博


「決算」の現金の取り扱い


「決算時」に「現金」についてすべきことは、大きく2つ挙げられます。

■ほかに「現金」が無いか確認する

これは別に「タンスの裏の5円玉をさがせ!」と言っているわけではありません。実は会計上、日々帳簿をつけている「現金通貨」の他にいくつか「現金として取り扱いなさい」と決められているものがあります。
それは、
  • 他人振出の小切手
  • 期日到来の公社債の利札
  • 配当金領収証
  • 税金の還付通知書
等があります。
これらは、いずれも銀行等の金融機関に持っていけば基本的にすぐ現金化してくれるもの。ほぼ「現金通貨」と同じ機能を持つので会計上も「現金」として処理するというわけです。これらをまとめて「通貨代用証券」なんて言ったりもします。簿記の勉強をなさった方は一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
これらのものを見つけたならば、「現金」として処理しましょう。

ちなみに、これら通貨代用証券の計上をし忘れて決算を組んだ場合、税務調査で「現金計上もれ」として課税の対象となってしまう場合があります。くれぐれも計上をお忘れなきよう。

また、小切手ですが「他人振出」のもののみが「現金」として取扱われることになります。「自己振出」の小切手は「当座預金」として処理しますので、お間違えの無いようにしてくださいね(詳細は「預金」の回にご紹介します)。

■「現金過不足」勘定を「雑収入」または「雑損失」に振替える
チェック!
「現金過不足」なんて勘定科目が残った決算書を作ってしまったら、恥ずかしいことに!必ず期末に「現金過不足」は無いか、確認しましょう。


期中に発生した現金の「帳簿残高」と「実際残高」の差額で、その原因が不明のまま決算を迎えた場合、「現金過不足」勘定を精算する必要が出てきます。
実は「現金過不足」という勘定科目は、決算で用いる正式な勘定科目としては存在しません。「現金過不足」は「帳簿と実際のお金が合わない差額がこれだけあります!」という「目印」に過ぎないのです。このような勘定科目を「仮勘定」なんて呼ぶ人もいます。

決算を迎えるにあたり、「現金過不足」を正式な勘定科目に振替える作業が出てきます。どのような科目に振替えるか、それはケースによってきますが、
  • 「帳簿残高」>「実際残高」の場合  「雑損失」
  • 「帳簿残高」<「実際残高」の場合  「雑収入」
とします。つまり、「実際残高」に合うように調整するということです。
これで、「現金過不足」勘定が決算書から消えるはずです。

「現金」の実務上の注意点


「預金」は預金通帳にその履歴が残りますので、どのような入金・出金があったか分かりますが、「現金」は「預金」と違い、その出入りを自分で管理しないと、足跡が残りません。
つまり、自分でちゃんと管理しないと何がなんだか分からなくなってしまうのです。

そんな現金ですから、ちゃんと管理できていれば「経理がきちんとしている会社」、残念な管理であれば「経理がいい加減な会社」と税務署などに思われてしまいます。

管理が面倒な現金だからこそ、経理が力を入れるべき重要な勘定科目の1つであると言えるのです。



【関連リンク】

様々な会社の中には、「現金」という勘定科目がない会社がいくつも存在します。もし、「現金」の管理にお困りのようでしたら、こちらをご参考になさってはいかがでしょうか。

■「さよなら、現金」シリーズ
「さよなら、現金(1) -現金ってこわい!-」
「さよなら、現金(2) -預金を活用せよ!-」
「さよなら、現金(3) -経費精算も活用!-」
「さよなら、現金(番外編) -さよならの前に-」
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