海外で働く・転職する/海外での仕事・働き方

海外で宝石を買い付ける仕事(4ページ目)

海外を飛び回り、英語で交渉をして美しい宝石を買い付ける・・そんな華やかなイメージの宝石買付けの仕事。しかし実は英語が苦手というプロも。言葉を超えたコミュニケーション術をおききしました。

執筆者:柏木 梨花

工藤雅紀さん「宝石は作物が実らない土地に地球が恵んでくれた宝物です」

イスラエルでのトラウマ

自身で独立をする前に、イスラエルにダイヤの買付けに行ったときのこと。
当時イスラエルは情勢が不安定。「こういうときだからこそ、いいものを安く仕入れることができる!」と周囲の反対を押し切り、出発をしました。
イギリス経由で行ったそうですが、イギリスまでの飛行機は日本人も乗っていたものの、イギリスからイスラエルへ向かう機内の乗客は見慣れない中東の人ばかり。当然日本人は工藤さん一人だったそうです。入国カードも英語での記載すらなく、まったく理解ができない状態。
海外出張の経験があるとはいえ、さすがに初めての環境。不安になりながらも、大見栄をはって出てきてしまった手前、何が何でも商談は成功させなければいけない、そんな不安とプレッシャーからか、機内でトイレに向かおうと通路を歩き出した途端、通路で倒れてしまったのだそうです。
貧血だったのか、しばらくして意識が戻ったものの、倒れた場所と同じ機内の通路。時計を見ると30分ほど経過していたそうです。
「30分間乗務員も乗客も誰一人起こしてくれなかったんですよね。時計を見た瞬間、さあーっと血の気が引きましたね。」
さらに空港に着いてからも災難は続いたのだそう。
「入管でひっかかって別室に連れて行かれたのです。色々と質問をしてくるけれど、何を言っているのかさっぱりわからない。身包みはがされて拘束をされました。」取引先の事務所の電話番号をもっていたのでそこから迎えに来てもらい、無事入国ができたのだそうです。
「ビジネスマンの渡航が少ない状態の国にネクタイをしめて行くなんてさすがに無謀ですよね。飛行機の中での一件はいまだにトラウマになっています(笑)。それからはきちんと現地の情勢も考慮して行動をしないと、と思うようになりました。」

そんな思いをしながら訪問したイスラエルはダイヤモンドの4大研磨地のひとつ。
ヨーロッパの老舗ジュエラーが億単位の取引をしている世界なのだそう。今までの取引先とは全く勝手が違う中、なんとか取引を成功させたそうです。
そして日本にいるだけではわからなかったダイヤの相場観も勉強できたそうです。


  • 前のページへ
  • 1
  • 3
  • 4
  • 5
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます