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海外で宝石を買い付ける仕事(2ページ目)

海外を飛び回り、英語で交渉をして美しい宝石を買い付ける・・そんな華やかなイメージの宝石買付けの仕事。しかし実は英語が苦手というプロも。言葉を超えたコミュニケーション術をおききしました。

執筆者:柏木 梨花

トルマリンの鉱山があるブラジルのパライバ州。この空と同じ色の宝石がとれるのだそう。

英語ができなくてもコミュニケーションが成立するワケ

「本当に英語ができないんですよ!海外出張に行っていれば、そのうち自然と話せるようになるだろう、と思っていたのですが、そんなあまいものではなくて(笑)。使う単語なんていくら?とか、高い・安いとか、そんなもんです。」
そうは言っても、多いときは年に6~7回も海外に行き、何百万、何千万という交渉をしてくる。どうやって取引を成立させるのでしょうか?

「宝石の場合は、目が全てです。自分の目で見て判断をするしかありません。ですからいくら?高い・安い、これだけの世界なのです。」
そうは言うものの、実際にはお付き合いが15~16年にも及ぶ取引先もいるのですから、確固とした信頼関係を築いてきているはず。
そこには言葉を超えた、工藤さんと取引先との同業者としての魂を感じるものがありました。


言葉を超えた信頼関係とは?

「買付けでは山ほどある石を見て、どれをいくらで買うか交渉するのですが、「ここからここはうちの求めるものではないからいらない」とするのではなくて、ひとつひとつ石のすみずみまで見て、値段をつけるようにしています。」
その値段で相手がOKなら取引成立。相手がNOなら不成立。しかし、この値段をつけることに意味があるのだとか。
「どんな石でも、現地の人が一生懸命カットしているものです。
「これはいらない」ではなくて、石のすみずみまで見て、少しでも魅力のあるものであれば値段をつけるようにしています。
ちょっとクセのあるものは理由を言って安く値段をつけるのですが、理由を言われると研磨している人もわかっているんですよね。きちんと理由を伝えると相手も納得します。
値段をつけずにNOといわれるよりも人としての信頼感がかわってくると思います。」

とはいえ、やはり商売の世界。相手にとって「買い続ける取引先」であることが重要。

「買い続けるためには日本での販売先を確保しておかないといけない。そして次の石が磨りあがった頃に買いにいけるよう、準備をしておく。品物とお金を動かすことで、お互いでお互いの生活を支えている。言葉ではない信頼関係ができあがっていきます。いい石を優先的に見せてくれたり、めずらしい石がでたら教えてくれたり。」
中にはお父様の代からの取引先で、お互い2代目同士のお付き合いになっている業者もあるのだそうです。

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