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「青年海外協力隊」の理想と現実(後編)(2ページ目)

開発現場での理想と現実。必ずしも思ったとおりにいかないことだらけのなかで、ひとりひとりやりがいを見つけていきます。一方、帰国後のメンバーはどんな道のりをたどるのでしょうか?

執筆者:須子 はるか

同じ分野の仕事を目指される方へのアドバイス

同じ分野の仕事を目指される方へのアドバイス
結果よりもむしろ過程が大切
協力隊に主に求められるのは技術と語学力ですが、どちらも準備して準備しすぎることはありません。先にも触れましたが、語学の勉強は出来る限り早いうちから始めることをお勧めします。

私の知る限り派遣前訓練が始まる前に語学の勉強を始める人はほとんどいません。協力隊というと国際派のイメージがありますが、海外に出るのは初めてという人も結構います。私もそうでした。合格した人の中には2ヵ月半合宿訓練で語学を学べば大丈夫だろう、と考える人が多いようですが、派遣されてから語学で困ったことがない隊員は少数です。

協力隊の活動は結果よりむしろ課程が重んじられるので、低い語学力でもそれなりの活動が出来てしまいます。しかし語学力が違えば任国への貢献度も自分の満足度も違います。私は合格通知をもらってから派遣前訓練が始まるまで英会話にかなりお金と時間を投資しました。満足できる語学力は得られなかったものの、あの投資がなかったらトンガでの活動も今の自分もなかっただろうと今でも思います。

発破をかけるようなことを言ってしまいましたが、だからといって完璧は求めないで下さい。それは、所詮無理です。むしろ完璧を求めることは勉強の障害になると考えてください。目に見えるゴールはありませんが、出来る限りの準備を怠らないでください。

合格して、準備を整えていざ任国に赴任したら、郷に従って下さい。任国でのストレスはきっと想像以上で、イライラすることもたくさんあると思います。「日本人だから出来るだろうけど自分はトンガ人だから出来ない」ということを言われるという話はしましたが、逆に隊員が「自分が指導したことをどうして彼らはできないんだ。これだからトンガ人は駄目だ」と言うこともあります。

日本にいる皆さんなら、トンガ人に日本流をそのまま押し付けることは無理なので受け入れやすい形で少しずつ教えなくてはいけない、ということはすぐに理解できると思います。しかし現地で、日本にいた時は想像もしなかったストレスに襲われると、ついイライラして正しい判断が出来なくなることも多々あります。だからトンガ人は駄目だ、と言いながら2年間の活動を終わらせることもできてしまいます。

そんな有意義とはいえない活動をしながら任期を終える前に、日本は日本で任国は任国ということに気付いて、郷に従う気持ちを思い出してください。イライラの元のストレスも、郷に従えないでいることに起因することもよくあることです。かく言う自分もついイライラしてトンガ人の悪口を言うこともありました。派遣前訓練の最後には所信表明のようなものを書くのですが、私は任国でそれを読み返して、自分が恥ずかしいと思ったことがあります。

今だからこそ言えることですが、任国で辛いことがあったら、自分がどうしてこの道を選んだのか思い出してみて下さい。そして有意義な2年間を過ごしてください。

鉄は熱いうちに打て、ということで、この記事を読んで何かを感じた人はすぐに実行に移してください。




Sさんの生の体験から学べることがたくさんありますね!実際に協力隊に興味が出たあなたは、ぜひ説明会に参加してみてはいかがでしょうか?

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