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仕事が原因で病気になったらどうなる?

労災(労働災害)とは、勤務時間中や、仕事が直接の原因となった病気やケガのこと。 オフィスワーカーには縁が薄いイメージがありますが、そんなことはありません。

執筆者:西村 吉郎


労働災害の経済学
労災(労働災害)とは、勤務時間中や、仕事が直接の原因となった病気やケガのこと。
先日のドン・キホーテ浦和花月店の火災。従業員3人の方はかわいそうなことになってしまいましたね。一度は外に出ていながら、逃げ遅れたお客がいないかどうかを確かめるために、店に戻ったのだとか。

ここまで悲惨なケースはそう起こりえないとしても、どんな職場、仕事でも起こりうる労働災害。もし、あなた自身がその被害に遭ったとしたら、その後の生活にどのような影響が生じるのでしょうか。ここではとくに、給与の支払いや治療費負担の面から労働災害の問題点を考えていくことにしましょう。

パソコンによる視覚障害、ストレスによるうつ病、シックビル症候群も

仕事がらみでケガをしたり、病気になったりすることはままあるものです。高所で作業したり、トンネルを掘削したりする建設・土木業や、製造機械を操作する製造業など、作業そのものに危険が伴う仕事以外でも、いつどんな事故、病気に見舞われないとも限りません。

具体的には、社有車で外回りをする営業職では常に交通事故の危険がつきまといますし、パソコンに向かって普通に仕事をしていても、長時間キーボードを打鍵しすぎて腱鞘炎になるとか、ディスプレイを見つめ過ぎて視覚障害や肩こりなどの体調不良を引き起こすといったこともあります。仕事の重圧感や人間関係、セクシャルハラスメントを受けたことなどからくるストレスが原因で、うつ症状に陥るということもあるでしょう。

シックハウスならぬシックビル症候群というものも登場しています。建材から放出されるホルムアルデヒドやそれ以外の揮発性有機化合物、ダニ、カビなどによるオフィス内の空気汚染が原因で、目がチカチカしたり、鼻やのどが痛くなったり、頭痛が起きるなどの不快な症状が現れるというものです。アスベストなど発ガン性が指摘されている素材が断熱材として使用されている建物もまだ多く残っているといわれます。

労働災害とは、仕事が直接の原因となった病気やケガのこと

労働災害とは、勤務時間中に何らかのアクシデントに巻き込まれたり、長期にわたって有害物質を吸い込んだことが原因で病気になったなど、業務遂行中あるいは業務に起因するケガや病気、さらには障害、死亡に至る災害をいいます。これとは別に、会社への通勤あるいは帰宅途中に事故に巻き込まれたという場合も労働災害に含まれますが、勤務時間中のものは「業務災害」、通勤途上のものは「通勤災害」として区分されています。

これに対して、勤務時間中に起きた災害であっても、たとえば昼休み中に会社の近くをジョギングしていて足をくじいてしまったとか、自宅から持ってきた弁当のおかずが腐っていて食中毒を起こしたなど、業務遂行中ではなかったり、業務との因果関係があるとはいえない場合には、労働災害とは認定されません(専門用語で「業務遂行性」と「業務起因性」が問われる)。

また、地震などの自然災害による不可抗力によるもの、事務所に外から車が突っ込んできたなど外部要因によるものも認定からはずれます。ドン・キホーテの場合も放火ということですから、遺族が労災申請したとして、果たして認められるのかどうか気になるところです。

通勤あるいは帰宅途中での災害については、通常利用する通勤ルート上か、もしくは、帰宅途中にコンビニで買い物をした程度であれば逸脱があっても通勤災害として認定されますが、通常の通勤ルートを大きく外れていたり、どこかで食事をしたり酒を飲むなどしたあとに災害にあった場合には、認定されないことになります。

業務災害であれ通勤災害であれ、労働災害として労働基準監督署に認定されれば、国が管掌する労災保険(労働者災害補償保険法)によるさまざまな補償が受けられます。

この労災保険は、農林水産業の一部を除き、従業員を1人でも雇用するすべての事業所(会社組織ではない個人事業も含みます)に強制的に適用されます。もし、会社がずるして保険料を納めていなかったとしても、労災の適用を受けられますので安心してください。

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