未払い給与----請求すれば早くもらえる
「3月いっぱいで辞めさせてください」などと、月末を区切りに退職する人が少なくありませんが、給料の締め日が15日とか20日に設定されている場合には、それ以降に働いた日数分の賃金が、退職時点で未払い給与として残ることになります。
この、給与の締め日を過ぎて以降の労働に対する賃金は、一般には翌月の給料日に支払われることが多いのですが、1日でも早くもらいたいときは、それ以前の支払いを求めることも可能です。法律上、退職者の権利に属するお金(未払い給与や社内預金、積立金など)は、本人から請求があった場合、7日以内に返還しなければならないとされているからです。
ところで、月末に退職する場合、この未払い給与からは厚生年金や健康保険の保険料が各2カ月分控除されるほか、退職する時期によっては、住民税が最大5カ月分も控除されることになります。これは、保険料が1カ月遅れの後払いになっていることと、退職の翌日が資格喪失日とされ、この資格喪失日が属する月の保険料も徴収される決まりになっていることによるものです。
月末の1日でも前に退職すれば、未払いの給料から差し引かれる保険料は1カ月分ですみます。ただし、翌月の保険料は退職後に加入した保険から請求されることになりますので、結局は同じことなのですが。
雇用保険----手当を手にできるのは4カ月も先
失業しながら転職活動を行う場合には、退職前の1年間に6カ月以上雇用保険に加入していた実績があれば、雇用保険の失業給付を受けることができます。
ただし、自分の都合で会社を辞めた場合には、受給の手続きをとってから7日間の待機期間のあとさらに3カ月、支給開始が先のべされることになります。したがって、手当の支給が始まるのは受給手続きをとってから3カ月と8日目以降のことになるわけです。
おまけに、支給開始からおおむね2週間後に設定されている失業認定日にハローワークに出頭し、求職活動状況のチェックと失業認定を受けることによってはじめて、その間の失業が認められ、手当が金融機関に振り込まれることになります。この振り込み手続きにも2、3日かかったりしますので、結局、4カ月近く経たないと、失業手当は手に入らないのです。
さらにいえば、最初に手にできる失業手当は2週間分ほどでしかありません。金額はといえば、会社勤めをしていた時代の1日当たり給料の6割から5割でしかないのですから、不足分は預金を取り崩すか、アルバイトでもして稼ぐほかありません。2回目の失業認定日は28日ごとに巡ってきますので、手当も28日分に増えますが、それでも、毎日の生活を維持するだけが精一杯。決して臨時収入として計算できるものではないことになります。