派遣労働に関する「紹介予定派遣」の制度については、かなり知られるところとなりましが、人材紹介会社が行う「常用目的紹介(トライアル紹介)」は、2002年2月に制度化されたにもかかわらず、この制度を表立ってPRする人材会社が少ないこともあり、意外と知られていません。ここで、この制度の内容をお知らせします。
人材紹介会社が扱う求人案件は、アルバイト、パートタイマー、派遣、嘱託、契約社員などを除き、原則として常用雇用を前提とするものです。
これに対して常用目的紹介は、最長6カ月の間は契約社員として勤務し、契約期間満了の時点で求人会社が当該契約社員に仕事を続けて欲しいと希望し、契約社員も引き続きその会社で働くことを希望したときは、改めて期間の定めのない雇用契約を結ぶことを予定して行う職業紹介です。
派遣の場合の「紹介予定派遣」が、派遣期間満了後に派遣先会社に直接雇用されることを予定して人材を派遣するのに似ています。ただし、この紹介予定派遣の場合、派遣先会社との雇用契約は必ずしも正社員ではなく、パートタイマーや契約社員となる場合もあります。
その点、常用目的紹介の場合、アルバイトやパートタイマーなどでは期限を定めての雇用契約となるのが普通ですから、この雇用形態での契約は初めから想定されていません。常用雇用=正社員とは限りませんが、いずれにしても、雇用主があるいは労働者のどちらかが雇用契約の解除を申し出る(解雇あるいは退職)か、定年退職を迎えるまでは継続して働き続けることができるわけです。
なお、常用目的紹介で紹介を受けたとしても、会社あるはい労働者は、予定された契約期間の終了後の常用雇用契約の締結を拒否することができます。これを労働者の立場から見ると、ずっと働き続けたいと思っていてもその希望が叶わないことがあるということですが、逆に、その会社が気に入らなかったときは、契約期間だけしっかり働けば、期間満了と同時に退職できるということになります。
この制度を積極的に活用している人材紹介会社は、まだ数えるほどしかありません。人材紹介会社のホームページなどをのぞいても、制度の紹介すらない場合がほとんどです。しかし、表だっては取り上げていなくても、求人企業からの要請があれば対応するというところもあります。もし、どんな会社かよくわからないままに転職するのは不安という場合には、この制度の利用の可否を尋ねてみるといいでしょう。
なお、ハローワークでは、常用目的紹介と似た制度として「トライアル雇用」を実施しいます。とりあえず3カ月ほど働いてみて、その後に、常用雇用(期間の定めのない雇用)に切り替えていくという点で、ほぼ同じ仕組みといえますが、こちらは原則30歳未満の若者か、45歳以上65歳未満の人などが対象となっています。
もともと、フリーター生活が長くて思うような転職活動ができすにいる人、年齢の問題でなかなか再就職できずに困っている人の再就職促進を目的としてスタートしたものですが、30歳未満については就業経験の有無は問われませんので、常用目的紹介同様、転職でミスマッチを避けたい人にも活用できます。ただし、この制度を利用するためには、ハローワークで求職登録を行うことが前提となります。
[参考記事]
紹介予定派遣制度がスタート
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