なんだか、年金制度の改革案を巡ってかびすましい状況になっています。若い人にとってピンとこない問題かもしれませんが、転職活動には大きく関わってきます。ここで年金について知っておきたい要点を整理しておきましょう。
■満20歳以上64歳まですべての国民に加入義務
日本は、社会保険(年金保険と健康保険)について国民皆保険を原則としています。日本に住んでいれば、だれもが必ずいずれかの公的年金保険や公的医療保険に加入しなければならないわけです。収入などの問題で特別に保険料の納入を免除されている人もいますが、この人たちも加入者であることには変わりはありません。
このうち、健康保険については、生きている限り加入しなければなりませんが、年金保険は20歳となった月から60歳の誕生日を迎える月の前月まで継続して保険料を納めることになります(60歳以降も会社に勤めている人は70歳になるまでの間、さらに厚生年金保険料を納める必要がある)。ただし、この40年間(480カ月)に、保険料を納めた期間と免除された期間を合わせて25年以上(300カ月)あれば、年金を受給する資格が得られます。
■年金の加入資格は3種類ある
公務員を除く一般の国民を対象とする年金保険には、国民年金と厚生年金保険の2種類があります。厚生年金保険は会社や団体に勤務している人が加入する保険で、自営で働く人、学生、その他どこにも雇われていない人が加入するのが国民年金保険です。転職のために会社を辞め、現在失業中という人も、この国民年金に加入しなければなりません。
どのような保険加入資格があるかによって、被保険者の種別は第1号から第3号までの3つに分かれています。
・第1号被保険者……自営業者、学生、失業者、給与所得者に扶養されていない配偶者など
・第2号被保険者……会社や団体に勤務している人、公務員(65歳以上の老齢基礎年金などの受給者を除く)
・第3号被保険者……会社や団体に勤務する配偶者の被扶養者
このうち、第3号被保険者は、配偶者に扶養されている人が対象です。数年前までは、「サラリーマン家庭の専業主婦」などと表現されていましたが、妻が厚生年金に加入していて、夫が妻の扶養に入る形であっても、夫は第3号被保険者となります。この3号被保険者は保険料を納める必要はありません。
共働き夫婦のどちらか一方が会社を退職し、配偶者の扶養に入ったときは、第2号被保険者から第3号被保険者への種別変更手続きが必要です。往々にしてこの手続きを忘れ、将来受け取れる保険料をみすみす少なくしてしまう人も少なくないようです。気をつけましょう。
また、妻を扶養している夫あるいは夫を扶養している妻が会社を退職し、厚生年金加入者でなくなった場合には、夫婦別々に国民年金に加入しなければなりません。国民年金保険料は一律で03年11月現在1万3300円ですから、夫婦では2万6600円を納めることになります。