隣の芝生は青いとかで、とかく他人がいくら給与をもらっているのかは気になるもの。労働厚生省の『賃金構造基本統計調査』(平成14年版)の職種別統計をもとに、職種別、男女別年間収入を計算してみました。
元々のデータは、平均年齢、勤続年数、所定内労働時間数、超過実労働時間数、決まって支給する現金給与額、所定内給与額、年間賞与その他特別給与額、労働者数の8項目から成っています。今回は、このうちの「決まって支給する現金給与額」を12倍したものに、「年間賞与その他特別給与額」をプラスする方法で年間収入としました。また、職種によってはほとんどが大手企業に所属するものがあるため、公平を期す意味で、従業員数で1000人以上の企業を対象とした数値を使用しました。調査対象者が100人未満の職種については除外してあります。
さて、結果は下に挙げる通りですが、男性では、一般にもよく知られているように、航空機のパイロット、パーサー、大学教授、助教授などの高給ぶりが目立ちます。高校教員、幼稚園教諭、各種学校・専修学校教諭などいわゆる先生と呼ばれる職業の高給ぶりが目立ちます。女性でも大学教授、助教授の賃金が突出しています。この調査には公務員は含まれていませんので、すべて私立の大学、高校、幼稚園、専門学校の先生方です。子息を私立校に通わせている人にとっては、多少なりともカチンとくるところがあるのではないでしょうか。
意外なのは、医師のランクが低いこと。実は、医師の年収と企業規模との関係を見てみると、従業員数10~99人では1423万5000円、従業員数100~999人では1369万6000円と、その他の職種とは違って規模が小さくなるほど高給になっていることがわかりました。研修医の低賃金が問題になっていますが、大きい業員ほど多くの研修医を抱えているという事情があるからかもしれません。女性の場合の女医についても同様です。
全体的な傾向としては、上位には専門職、中位以下には製造業の現業職がランクされています。SEのランクの低さにがっかりしている人もいるかもしれませんが、ほとんどの職種が平均年齢で40歳前後となっているのに対して、SEの平均年齢は32歳である点が影響しているものと思われます。全労働者の年齢階層別統計から勘案すると、40歳前後では1割5分増しくらいに考えていいでしょう。
女性の場合、専門職と並んで、臨床検査技師、介護支援専門員(ケアマネージャー)、看護師、薬剤師、歯科衛生士、診療放射線技師など医療・福祉系の、専門的な資格を必要とする職業が多くランクインしましたが、製造業の現業職も目立ちます。女性の職場というと、百貨店や専門店などけっこう華やかな場所を思い浮かべがちですが、むしろ、製造工場で働く人の方が給与面では恵まれているといえるでしょう。
なお、この統計調査では、男女とも115職種を対象としていますが、この中に銀行や生命保険会社、不動産会社、商社、メーカーなどで総合職に従事する人、弁護士、弁理士、不動産鑑定士、開業医など独立して働く専門家などは含まれていません。もし、これらの職業についても調査すれば、ランキングはかなり様変わりするものと思われます。ちなみに産業別調査の数値では、金融・保険業が919万円、不動産業が876万8000円、製造業が759万3000円(いずれも大卒男性労働者、年齢35~39歳)となっています。
ご注意!
このランキングは、あくまでも民間の事業所に雇用されて勤務する方の賃金調査から算出したものです。全職業についての調査ではないことをご理解ください。また、平均年齢が高い職種は、その分年功が加味されていると考えられます。計算結果を単純に上位から並べたランクづけですから、順位そのものよりも、何歳でいくらもらえるのかを判断するための材料にしたもらえればと思います。
男性のランキングは2ページ目、女性のランキングは3ページ目に