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「石の上にも3年」とはいうけれど 3年待つかどうかの判断ポイント

昔から、3年も我慢できないようでは根性がないといわれますが、どんなにイヤな仕事でも続けるのが分別なのか、それともさっさと見切りをつけるのが賢いのか判断は難しいところ。決断のポイントを整理しました。

執筆者:西村 吉郎





新卒者の就職難が続いていますが、その一方で、せっかく苦労して入社しながら、短期間に退職してしまう人の割合も増えているとか。3年以内に退職する人の割合は、中卒で7割、高卒で5割、大卒で3割に達するということで、「七五三現象」という言葉も生まれているほどです。

いまは、会社に頼らず、いつどうなってもいいように社会的に必要とされるキャリアを身に付け、人材としての価値を保ち続けていかなければならない時代だといわれます。となると、好きな仕事、自分に向いている仕事に就いてこそ、苦労をいとわず打ち込めるものという観点からして、自分に適した仕事でないことがわかったら、さっさと見切りをつけるのも決して悪いことは思えません。

しかし、中途採用においては、ほとんどの企業が即戦力となれる人材を求めているため、1年や2年程度の短いキャリアしかない人がいい転職先に巡り会う機会はかなり限られています。加えて、短期間に転職すると、忍耐強くないとか、飽きっぽいとかのマイナス評価をうけることにもなり、ますます、転職は難しくなるわけです。

「石の上にも3年」のことわざ通り、多くの人事担当者は、キャリアとして評価するには最低でも3年の経験が必要だとしています。3年の間には、いくつかの苦境とそれを乗り越える経験もしているはずですから、人間性の面でもマイナス評価を受けることはないでしょう。

自分に合わないことがわかっていても我慢して3年待つか、それとも、やりたい仕事に向けて転職に踏み切るか。その判断のポイントを整理しました。

■本当にやりたい仕事があるか
いま就いている仕事以外に、どうしてもやりたい仕事、好きな仕事があるのであれば、ことさら我慢を続ける必要はないと思います。

ただ、他にやりたい仕事が見つかったといっても、それは往々にして自分の才能や適性を踏まえたものではないこともあります。聞きかじっただけの知識で、おもしろうそうな仕事だから、いまの仕事よりは楽しそう、といった程度での選択では、転職したとしても決して成功できないでしょう。

転職して何をやりたいのか、なぜそれをやりたいのかを十二分に考えた上で、その実現のためには転職する意外にないと思えるのであれば、3年も待つことはないでしょう。

■いまの仕事で学べることはないのか
最近は、「○○の仕事を希望して入社したのに、営業に回された」など、自分の希望が叶えられなかったことに不満を抱いて、1年もしないうちに退職してしまうケースも多いと聞きます。しかし、たとえば経営企画の仕事には、マーケティングに関する知識、計数能力、ストラテジー能力、交渉力などが必要で、そのために営業、経理、総務などの業務をジョブローティングすることが前提となっているなど、新卒から一足飛びには就けない仕事もあるのです。

同じ社内で仕事をする限りは、その仕事も密接に結びついているものです。また、一つの業務での経験が、他社の別の業務に生かせることも少なくないのです。どんな仕事であれ、そこで身に付けられる知識や技術は将来的に決して無駄になるわけではないのですから、今の仕事で何かしら得られるものがあるのであれば、それを習得してからでも遅くはないといえます。
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