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残業代、ちゃんともらえてますか? 労働時間に関するQ&A(後編)(2ページ目)

労働時間や残業手当などに関するQ&Aの続きです。前編ならびに基礎知識編もあわせて参考にしてください。

執筆者:西村 吉郎

結論からいうと、使用者は労働者に対して、コアタイム以外の時間帯に出退社の時刻を指定することはできないのです。
 ただし、何か特別な業務上の事情があって、会社もしくはその代弁者である上司の独自の判断で、「何時に出社してくれないか」と相談するのは自由です。この場合、その要請に応じるか否かは、あくまで各労働者の自主的判断に任されることになります。
 しかし、自主的判断に任されるとはいっても、チームを組んでプロジェクトに当たる場合など、チーム全員がそろってコアタイム以外に打ち合わせを行う必要が生じたり、また、自らの業務上の判断で早出もしくは残業の必要が生じることなどもあるでしょう。そうした場合に、担当の業務遂行を怠るようなことがあれば、その後の評価に影響が出てくることもあり得ます。あくまでの自主的判断ではありますが、チームのメンバーに迷惑をかけたり、業務が滞って顧客先からの信用を失ったりしないためにも、配慮が必要だといえるでしょう。


Q フレックスタイム制導入に伴い賃金が減額されることに
 勤務先では、4月からフレックスタイム制を導入しました。これに伴い、以前は欠勤しても賃金は減額されなかったのに、所定の労働時間に不足した場合は、その時間分、給料から引かれることになりました。かえって労働条件としては悪くなったように思います。

A ノーワークノーペイの原則に添うもので違法性はない
 あなたの会社では、これまで完全月給制をとっていたのでしょう。これは、大の月と小の月で1カ月当たりの労働時間は変動しても、また、ゴールデンウィーク、夏季休暇、年末年始休暇などで休む日が多かったとしても、毎月の賃金額を保障するという制度です。
 この完全月給制では、労働時間と賃金額が必ずしも比例しないため、遅刻や早退、あるいは欠勤などによって労働時間が所定労働時間に不足したときでも、その分減額するようなことは行われません。ただし、所定の労働時間を超えたときは、その時間に応じた時間外手当が支払われます。
 一方フレックスタイム制度は、「出退勤の時間について一定の範囲で労働者に自由を与える代わりに、1カ月の所定時間数は働く」とする制度です。完全月給制と比較すれば、労働時間の管理は厳しくなります。たとえば1カ月の所定労働時間を160時間とし、これに不足した場合には所定の労働時間働いたものとみなすことはできませんので、労働時間が不足したときはその分をカットするという形にするのは当然といえるでしょう。
 本来、賃金についてはノーワークノーペイが原則です。その原則に立ち戻ったものであり、会社側の対応にも合理性があるといえます。


Q フレックス制で時間超過分の扱いに疑問
 転職した会社ではフレックスタイム制が導入されていますが、所定の総労働時間に対する超過分は、次の期間内で時間調整を行うことになっています。これでは次の期間も忙しかったりすると、また繰り越しとなり、手当も出ないのにいつまでも忙しい期間が続くということになるのではないでしょうか。

A 超過時間分はそのつど賃金として支払うべき 
 フレックスタイム制は、一定期間(1カ月以内)の総労働時間が定められ、労働者はその範囲内で各日の始業および終業の時刻を選択して働くことが許されるとする制度です。
 この制度をうまく活用すれば、深夜近くまで働いた翌日にはいつもより遅く出社するなどして、労働時間を調節することができます。ただし、期間内に実際に働いた時間を計算してみると、決められた候同時間との間には過不足が生じることもあります。
 もし、実際の労働時間が所定の労働時間を下回っていた場合は、一般的な労働時間管理制度の場合と同様に、不足した労働時間分は賃金から控除されることになりますが、賃金控除を行わずに、次の清算期間内に不足した労働時間分を上積みすることで調整することも可能です。
 逆に、実労働時間が所定の労働時間を超えていた場合には、超過分の賃金を支払う代わりに、次の清算期間の総労働時間を減らすという調整方法は認められていません。会社側は、その期間ごとに超過勤務分の手当を支給しなければならないのです。会社側に処理法の改善を求めるべきでしょう。


Q 労働時間が不足した分は有休との相殺になるが
 裁量労働制を導入している会社に転職しました。1日9時間働いたものとみなし、残業という考え方もありません。ただ、勤務時間が週40時間の所定労働時間を下回った場合には、不足した時間分を、有休休暇とで調整することになっています。妥当な制度といえるのでしょうか。
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