転職のノウハウ/内定・入社・退職手続き

トラブル事例に学ぶ 円満退職が大事とされるワケ(3ページ目)

転職では円満退職が鉄則といわれます。それはどうしてなのでしょうか。円満退職できなかったためにトラブルを招いてしまったケースからそのワケを考えていきましょう。

執筆者:西村 吉郎

CASE4
無断で退職したために必要な書類がもらえない
Dさんは、外回りを利用して勤務時間中にいくつかの会社の面接を受けた。そのうち1社から採用通知を受け取ったが、できるだけ早く出社してほしいという。勤務中に面接を受けに来たことを悟られたくないために、すでに退職して求職活動中であると伝えていたDさんは、勤務先と転職先をてんびんにかけた結果、転職先を選択。勤務先には無断で欠勤し、転職先の社員となって勤務を開始した。
ところが、転職先は、前の会社から受け取った雇用保険被保険者証、年金手帳、源泉徴収票をすみやまに提出するようにと求めてきた。しぶしぶ前の会社にこれらの書類をもらいに行ったDさんだが、「無断欠勤したあげくにちゃっかりほかの会社に転職していたような者には渡すべき書類などない」と拒否され、困っている。


このDさんのケースは極端すぎますが、退職時のすったもんだでもらうべき書類をもらわないままに辞めてしまい、あとで困ったという人は少なくありません。

退職時には、会社に健康保険証、身分証明書、名刺、通勤定期券、制服・作業服、文具類などを返却するとともに、雇用保険被保険者証、年金手帳、源泉徴収票、さらに雇用保険を受給する場合には離職票を受け取り、転職を果たしたら、転職先に雇用保険被保険者証、年金手帳、源泉徴収票(年末調整を受けるとき)を提出します。これらの書類を受け取れないと、それまでの保険加入実績がフイになってしまうこともあります。

どのような辞め方をしようと、法律上はこれらの書類は退職者から請求があったときはすみやかに(退職者の権利に属するお金=賃金、積立金、貯蓄金などは請求があった日から7日以内、離職票は退職から10日程度)返還する決まりになっていますが、辞め方が気に入らないとの理由で中には意地悪して渡すのを遅らせる会社もないわけではありません。

それだけならいいのですが、一定日数以上の無断欠勤を懲戒免職の対象としている会社では、無断欠勤を理由に懲戒免職処分になることも考えられます。退職金を受け取る資格があったとしても、それは放棄したものとみなされても仕方のないところです。


CASE5
同業者との話から転職先に悪評が伝わった
転職から1カ月ほど経ったある日の夕方、帰り支度をしているEさんに課長から声がかかった。話したいことがあるという。課長について会議室に入ったEさんに対する課長の話とは次のようなものだった。
先日、ある企業の新製品展示会で得意先の某氏と出会い、今度、優秀な人物が入社したので今後ともよろしくと挨拶したのだが、Eさんの名前を出したとたん、先方がイヤな顔をした。先方がいうには、Eさんが前にいた会社とも取引があったのだが、ろくに引き継ぎもしないで辞めてしまったようで、後任者がまごつき、当社としても迷惑しているというのだ。キミを採用したことで、某氏に対する我が社のイメージもいくぶん下がってしまったのではないかと思う。私としてはキミに対する評価も下げざるをえない。
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