今後は401kプランがポイントに
退職一時金の支給額は、賃金とリンクしている企業が多いために年々増えてはいますが、退職一時金を支給する企業割合は年々減少しています。
同じく1997年の「賃金労働時間制度等創業調査」によると、81年に55.4%あった「一時金のみ」とする企業割合は、97年には47.5%にまでダウンしました。その分は、退職金の一部を年金として支給する企業の割合が増加しています。
この企業年金には、会社独自のもの(法人税法上の扱いにより適格年金と非適格年金に分類される)と、厚生年金制度の一部を補完する企業年金としての厚生年金基金があります。このうち、厚生年金基金は、転職によって勤務先が変わっても加入期間を通算することができます。
しかしながら、この企業年金は、低金利の時代とあって約束した支給額に見合うだけの積立金の運用による利益を生み出すことが困難になり、多くの企業が逆ざやに悩んでいます。逆ざや解消のために企業の負担は増える一方とあって、年金制度を、社員個々に運用を任せてしまおうという「401kプラン」方式に改める企業も増えてきました。先の国会でも、この制度導入を体系化する法律も可決成立し、この秋にも施行されることになっています。
401kプランについては、All About Japanの「年金」サイトに詳しく紹介されていますので、ここでの解説は避けますが、最大の特徴は、転職してもそれまでの積立金を新しい会社に持っていくことができる点にあります。401kプランが企業年金の主流になることは間違いなさそうですから、今後は、転職による生涯賃金の目減りを気にする必要はほとんどくなくなると考えていいでしょう。
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