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サミット参加首脳1~カナダ・ハーパー首相

サミットまであと1ヶ月あまり。福田首相やブッシュ大統領などはいいとして、意外としられていない他国の首脳たちを、その国の政治情勢も交えてお話しして行きます。第1回はカナダのハーパー首相、若き宰相です。

執筆者:辻 雅之

(記事掲載日/2008.6.5)

北海道・洞爺湖サミットまであと1ヶ月あまり。オールアバウト「よくわかる政治」がはじめて体験する日本でのサミット開催です。何回かに分けて、サミットに出席する首脳たちを紹介していきます。


1ページ目 【カナダを構成する民族は何?】
2ページ目  【カナダの政治・経済の現状】
3ページ目 【ハーパー首相の人物像と政策】


サミット出席国は8カ国+1

カナダ政治機構
カナダ政治システムの概略。※上院議員は首相の指名によって総督が形式的に任命。
首脳がサミットに出席するのは、アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・日本・イタリア・カナダ・ロシアの8カ国です。

最近では「地球サミット」「ビジネスサミット」などなど、たくさん「サミット」という言葉が用いられるので、8カ国という意味から「G8サミット」と呼ばれることがあります。

この中でもっとも遅く加わったのがロシアです。サミット開催のいきさつや、参加国の変遷については記事「サミット(主要国首脳会議)」をご覧ください。

そして、EU委員長も参加します。基本的にサミットは経済問題を扱うために始まったので、EU政策を実行するEU委員長の参加も必要だったのですね。

さらに、近年のサミットでは、開催にあわせて多くの国々の首脳を招いて意見交換する場も設けられています。洞爺湖サミットでは「洞爺湖プロセス」構築のため、多くの国々が招待されています。

これも詳しくは記事「洞爺湖プロセスとは?」をご覧ください。

カナダの国家元首はだれ?

カナダ国家観の変遷
カナダ国家観の変遷。英仏系対立だけがカナダ政治の課題ではない。
さて、今回は知っているようで知らない、カナダの首脳、ハーパー首相と、カナダという国について簡単にお話ししたいと思います。

もっとも、簡単、といっても、カナダの政治体制は簡単に説明できるものではありません。まず、カナダの国家元首は誰なのでしょう。首相はふつう国家元首ではありません。

正解は、「エリザベス2世」です。カナダは今でも、イギリス国王を元首に持ち、国王の代理として総督が置かれている国なのです。もっとも1952年以来、カナダ総督はカナダ人が就任するようになっています。

このような制度は、オーストラリアやニュージーランドも同じです。この2つの国は国旗にイギリス国旗である「ユニオンジャック」を掲げて、「イギリス連邦」であることを示していますが、カナダの国旗には「ユニオンジャック」はありませんね。

カナダは連邦国家であり、特にケベック州には多くのフランス系住民が住んでいます。そのため、「連邦からの離脱(つまり独立)」を唱える人々も少なくありません。

このようなことから、カナダはあくまでカナダとしてのアイデンティティを持つべきだ、イギリスとは違うんだという意見がフランス系住民だけでなくイギリス系住民からもあがり、1965年、現在のメープル・リーフ国旗が誕生したのです。

しかしその後もケベック問題はカナダ政治の大きな課題の1つです。総督は1974年からフランス系とイギリス系が交代で務めるようになっています。現在はフランス系のジャン総督が就任しています。

さらにイヌイットなど先住民族の問題もあります。カナダは2つの民族だけでなく、多様な民族からなる多民族国家なんだ、ということがいわれはじめました。1999年、ヌナブト準州が誕生しイヌイットを中心とする初の地方政府が誕生しています。

次のページでは、カナダの政治制度と首相についてみていくことにします。
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