セルビア総選挙、過半数派はなし

セルビア議会勢力
新しいセルビア議会勢力。
5月11日に総選挙が行われたセルビア。民族主義を掲げ、コソボ独立に強硬に反対するセルビア急進党は議席を減らす一方、大統領率いる民主党とその連合が躍進、「民主党連合」は第1党となりました。

タディッチ大統領ら民主党はEU加盟推進派。コソボ問題などで孤立する政治経済の状況に嫌気をさした国民が、EU加盟を模索しはじめたといえるでしょう。

とはいえ、EU加盟推進派が過半数を占めているわけではないので、連立政権作りがこれから始まることになります。特にEU加盟に慎重ながら、中道路線を歩んでいる社会党が、民主党らにつくか、セルビア急進党らにつくかが大きな焦点になりそうです。

コソボ独立反対か、経済発展か

思えばセルビアは、1991年に発生したユーゴ内戦以降ヨーロッパでは「悪者」扱いされ、孤立した存在でした。ボスニア紛争やコソボ紛争で、セルビアが多民族を激しく迫害したからといわれています。

コソボ紛争の終結後、民主化が進展しましたが、コソボ独立に反対する立場から、その孤立状態は変わりませんでした。そのため、経済は大きく停滞し、失業率は21%(2006年)、インフレ率も7.0%(2007年)に達しています。

EU諸国はコソボ独立を支持しています。ロシアはセルビア同様、コソボ独立に反対してきましたが、ロシアはセルビアにとって最大の輸入国であるにせよ外貨を稼ぐことができる輸出国ではありません。

経済を再建するなら、コソボ独立を容認してもいいからEUのもとでの経済発展に期待したい、という人々が増えているのでしょう。

それに、もうこれ以上悪者扱いはうんざりだ、ということでもあるのかもしれません。しかしいずれにせよ、大統領が進めるEU加盟が現実のものになるかどうかは、できあがる連立政権をみてみないとわかりません。

■関連サイト 「ユーゴスラビア」政治の歴史
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