(記事掲載日/2008.3.23)

「日曜日の政治用語」バックナンバーはこちら

中央・地方問わず行政改革が叫ばれる昨今。そんななか、かねてから行革の理念として掲げられることが多い「NPM」。小泉改革もこの路線上にあるといわれていますが、いったいどういう意味なのでしょう。

公共サービスを「経営」する

NPMの概念
 
NPMとは「ニュー・パブリック・マネジメント」の略で、日本語だと「新公共管理」などと訳されます。

簡単にいうと、行政が行ってきた公共サービスに市場メカニズムや民間企業経営の理念を取り入れ、より効率的なものにしようというものです。

具体的には、

(1)行政コストの削減による効率化
(2)民営化・アウトソーシングの推進
(3)競争原理の導入
(4)結果主義による公共サービスの向上
(5)市民を顧客として位置づける
(6)官僚制をゆるやかな管理組織へ
(7)説明責任の明確化

つまり、政府や地方公共団体を「企業」と位置づけ、サービスの効率化を質の向上を両立させようという概念なわけです。

たとえばPFIのように民間資本を公共サービスに導入したり、政府の業務遂行のみをおこなう部門を独立行政法人(エージェンシー)として分離し企業並みの経営を行わせるなどすることが、NPMの典型といわれています。

そして、政策によって何が生まれたか(アウトプットの重視)だけでなく、企業なみの経営を実施するにあたり、政策や公共サービスによって「どれだけの成果があったか(アウトカムの重視)」ということを重視しようとしています。

そのため、政府の各部門の活動を定期的にモニタリングし、政策評価をしていくこともNPMの大事な理念となっています。

NPMの歴史と日本

NPMの歴史
 
1960年代まで、先進各国は福祉の充実を重視し行政規模・財政規模を大きくさせていきました。

しかし、それは各国の財政悪化を招きました。特に1970年代の不況は、先進各国に「福祉国家」の限界を感じさせました。このようなことから、「新自由主義」のもと、イギリスのサッチャー政権など、「小さな政府」を志向する政権が生まれていきました。

このようななか、イギリスやニュージーランド、オーストラリアなどでNPMの概念が生まれていき、世界に広まっていったのです。

日本でもNPMといえるかどうかはわかりませんが、1980年代に国営3公社(国鉄・電電公社・専売公社)が民営化され、「小さな政府」志向をめざす改革が行われはじめました。

1990年代後半のいわゆる「橋本行革」はNPMを意識したもので、独立行政法人制度の導入や政策評価の制度化などが決定されました。

「小泉改革」もやはりNPMの理念であり、郵政民営化はもとより、規制緩和の実施、国立大学の独立行政法人化などを推進していったのでした。

しかし地方公共団体においては、まだまだNPMという概念が浸透しておらず、法的な整備(例えば民間委託を円滑化する指定管理者制度)にもかかわらず、うまく活用されていない部分があります。今後の課題といえるでしょう。

「日曜日の政治用語」バックナンバーはこちら

■関連サイト 日曜日の政治用語 PFI

※参考資料
『地方自治の現代用語』 阿部斉・澤井勝・今村都南雄ほか 2005 学陽書房
『行政学教科書』 村松岐夫 2001 有斐閣
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。