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セブン‐イレブンが弁当を値引きするわけ(2ページ目)

セブン-イレブンは8月5日、弁当などを値引きする「見切り販売」を、加盟店に対し認めることを発表。これまでの姿勢を大きく転換させましたが、その背景には、どんな問題があった? 他のコンビニはどう対応する?

執筆者:志田 玲子

「推奨価格」の設定で、価格を維持

画像の代替
節約のため増えている手作り弁当組も、より安い「見切り販売」弁当に乗り換える?
写真提供:無料素材・WEBデザイン フリー素材屋Hoshino
セブン-イレブンは、各加盟店との間で、「加盟店基本契約」を結んでいます。その価格設定に関するポイントは、
■店頭での販売価格については、それぞれの加盟店が自由に決められる
■販売商品のほとんどを占める「推奨商品」について、セブン-イレブン側が、標準的な販売価格(推奨価格)を設定

つまり同社は、価格づけを加盟店の判断に委ねるとしながらも、別に「推奨価格」なるものを設定。そのため、ほとんどの加盟店は、この推奨価格で販売していました。

もったいない! 期限切れデイリー商品はすべて廃棄

一方、日持ちの悪いデイリー商品(食品・飲料)については、以下のような条項が定められています。
■独自の販売期限(メーカー等が定める消費・賞味期限より前に定められた期限)を過ぎたものは、すべて廃棄処分
■廃棄分は加盟店の負担

つまり、販売期限を過ぎたものは、すべて加盟店の負担の下に、廃棄処分を義務づけていたということ。加盟店にとっては、廃棄により、仕入れ原価の全額が損失となるわけです。ちなみに、加盟店約1,100を対象に行った公正取引委員会の調査によれば、廃棄商品の原価の平均額は、年間で約530万円。加盟店のほとんどを占める中小の小売業者にとっては、実に大きな痛手……。

そのため、期限切れが迫った弁当などを値引きし、見切り販売をする「造反者」が登場! こうした加盟店に対して同社は、契約解除を示唆するなどして、同社が設定する「推奨価格」で販売するよう、圧力をかけていたのです。加盟店は、同社との取引を打ち切られれば、事業が立ち行かなくなる弱い立場。これを利用して値引き制限の圧力をかけた同社の行為が、1ページで見た「優越的地位の乱用」に当たると、判断されたわけです。

では、一連の経緯がわかったところで、コンビニ業界では今後、見切り販売の動きが加速する?
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