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サラリーマンの「雇用保険」はこう変わった(3ページ目)

失業率の上昇で、正規・非正規を問わず、雇用不安が渦巻いています。そんな折、国が雇用保険制度の改正を実施。そこで、失業手当の仕組みは、どう変わった? 非正規で、新たに雇用保険に加入できるのは、どんな人?

執筆者:志田 玲子

非正規の加入・支給条件を緩和、でも……

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さまざまな手当が増額されても、多くの非正規労働者は、相変わらず「蚊帳の外」……
非正規労働者に対する適用条件の見直しのポイントは、次の3点です。

■手当支給の条件(受給資格要件)を緩和…… 雇い止め(契約が更新されないこと)などで失業した非正規労働者の場合、雇用保険に6ヶ月間加入していれば、手当が受け取れる。これまで1年間とされていた被保険者期間を、半分に短縮
■給付日数を充実…… 雇い止めで失業した非正規労働者について、手当の給付日数を、解雇・倒産などで失業した人と同じレベルに充実化(3年間に限った暫定措置)
■雇用保険の加入条件を緩和…… 1週間の所定労働時間が20時間以上の人について、6ヶ月以上雇用される見込みがあれば、加入できる。これまで1年以上とされていた雇用見込み期間を、半分に短縮

上記によって、これまでより手当が受け取りやすくなった上、給付日数も充実化され、セーフティネットとしての機能が拡充されたのは、たしかです。一方で、今国会で特に問題視されたのが、保険加入の条件でした。上記の政府案に対し、野党側は、雇用見込み期間のハードルを、31日以上に引き下げ、加入対象者を広げるよう要求。しかし結局、政府与党が「数の論理」で押し切り、6ヶ月以上に決まりました。ちなみに、この措置で新たに加入できるのは、週20時間以上働く人のうち、3割程度。残りの7割は、これまでと同様「蚊帳の外」……。

今回の制度改正で、果たして、派遣労働者らの大量失業が懸念される「2009年問題」に、太刀打ちできる? 雇用保険のセーフティネットとしての真価が、問われることになりそうです。

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