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政府発表より実態は悪い? 完全失業率とは(2ページ目)

一般に、「政府発表の完全失業率よりも実態は悪い」とよく言われています。その謎を解くべく、完全失業率という統計の定義を確認しましょう。定義を知った上で、統計とうまく付き合うのが大切です。

執筆者:石原 敬子

各国の失業率を読むときの注意点

街
就職内定者や軍人(自衛隊員)を含むか否か、調査の範囲が国ごとに違う
日本の失業率を語る時に、世界各国との失業率の比較が取り上げられることがあります。日本は、欧米に比べて比較的低い水準を保っています。

今回の記事の本題とは若干外れますが、各国との比較データを読む際の注意点にも触れておきましょう。

世界各国での完全失業率の定義は、基本部分については、ILO(国際労働機関)の国際基準に沿って、共通しています。しかし、細かい部分については、国ごとに調査対象の範囲や調査方法が違っています。

そのため、完全失業率を単純に国際間で比較することを疑問視する専門家もいます。といってもその違いはそれほど大きなものではなく、各国の調査条件をそろえて算出し直したとしても、各国の現行での算出方法による統計との差は、大きく問題視するほどのものではないようです。

一般的には、各国間の失業率を比較する場合、基本的な定義は世界共通。若干、調査方法の違いがあるという認識を持っていれば十分なのではないでしょうか。

有効求人倍率のカラクリ

雇用関連の統計では、厚生労働省発表の「有効求人倍率」もよく知られています。参考までに、この統計の定義も知っておくとよいでしょう。

有効求人倍率は、「公共職業安定所(ハローワーク)で職を探している人1人あたりに何件の求人があるか」というデータです。直近の2009年3月では、0.52倍(季節調整値)。2月に比べ0.07ポイント低下し、2002年4月以来の低水準。

ここで注意しておきたいのは、有効求人倍率はハローワークでの職探し、求人の統計だということ。職探しをする場合、また働き手を募集する場合、民間の求人広告会社や転職支援会社を利用し、ハローワークには足を運ばない人もいることでしょう。このような求職者や求人企業は、統計上カウントされていないことを理解した上で、有効求人倍率という統計を使う必要があります。

統計に振り回されるのも考えもの

雇用に関する統計は、このところ月を追うごとに悪化しています。そのデータが消費者心理を不安にし、ますます景気が落ち込むという悪循環も否めません。本文で見てきたとおり、統計数字よりも実態はもっと厳しい雇用環境かもしれません。

しかし、自分自身の待遇や仕事へのモチベーションが、必ずしもマクロ統計とリンクしているとは限らないでしょう。データも悪い、周囲の実態も悪い、かもしれないけれど、統計に振り回されるのも考えものです。経済統計は、マクロ的な環境をつかむためのツールとして、上手に付き合いたいものです。

【関連サイト】

経済キーワード【ワークシェアリング】

景気の実感湧かない?経済統計(1)

総務省「労働力調査(過去の結果の概要)」


【関連リンク】
『雇用情報・雇用対策・雇用支援』
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