文章:石原 敬子(All About「よくわかる経済」旧ガイド)
昨年末以降、ワークシェアリング導入の議論が活発になり、2009年初に入ると、日本経団連の御手洗会長から「ワークシェアリングを検討する時期に来たのでは」と発言されました。2009年度春闘が大詰めを迎える今、やっと日本型ワークシェアリング導入を促進する素地が固まってきました。

<INDEX>
日本でもようやくワークシェアリングを促進(1P目)
「休業」「残業削減」「出向」で仕事をシェア(1P目)
ただ守られるだけでなく、労働者も協力すべし(2P目)
日本企業、既にワークシェア導入事例も(2P目)
緊急雇用対策のポイント(2P目)

日本でもようやくワークシェアリングを促進

会議
何度も議論に上ったワークシェアリング。ようやくここにきて導入促進へ合意。
ワークシェアリングは、ヨーロッパ、中でもオランダでの導入例が成功を収めたとして知られています。

日本でも、雇用問題が深刻化してくると、その都度ワークシェアリング導入論が浮上します。しかし、そのたびに「日本では定着しないのでは」と言われ制度化されないまま、再び昨年来の雇用不安の時期を迎えたというわけです。

今まで、日本でワークシェアリングが定着しなかった理由は、過去記事『経済キーワード【ワークシェアリング】』を参照して下さい。今回の深刻な雇用情勢の急激な悪化に対処するため、日本社会に合う「日本型ワークシェアリング」を導入することになったのです。

日本型ワークシェアリングは、3月23日にも政府と日本経団連(経営側)、連合(労働者側)の3者が合意すると新聞各紙で報じられました。「雇用安定・創出の実現に向けた政労使合意」案、すなわち緊急雇用対策案に、ワークシェアリング促進の文言が盛り込まれるようです。

「休業」「残業削減」「出向」で仕事をシェア

緊急雇用対策の合意案では、日本型ワークシェアリングを政府・経営側・労働者が強力に推進すると盛り込まれています。

企業は、雇用維持は社会的責任と認識し、雇用維持のために最大限の努力をすると確認。具体的手段として、休業や残業の削減、出向などが、労使合意の下で実施されることになりそうです。

ワークシェアリング導入に伴い企業の都合で休業した場合には、企業は、労働者に対し賃金の一定割合以上の休業手当を支給することになります。そこで政府は休業手当の一部を助成する「雇用調整助成金」を拡充し、企業のワークシェアを支援します。政府の予算額は、19日の舛添要一厚生労働大臣の記者会見によれば、追加雇用対策の規模は1兆5000億円程度とのこと。2009年度の補正予算で対応すると思われます。

ただ守られるだけでなく、労働者も協力すべし

一方、労働者もただセーフティネットを受けるだけではなく、企業が経営環境を維持することに協力しなければなりません。企業が雇用をできる限り守れるよう、日常の業務の中でコスト削減に取り組むなど努力する必要があります。利益を確保する小さな積み重ねが、企業が雇用を維持することにつながるからです。

企業がワークシェアリングを導入するにあたっては、労使の合意が前提となります。労働側も経済環境を鑑み自社の厳しい現状を踏まえ、経営側とワークシェア導入の議論が交わすことになるのは必至でしょう。

と、日本ではこれからワークシェアリングを導入するのかと思えば、そうでもなく、すでに導入している企業もあるのです。日本でのワークシェアの事例を、次のページで見てみましょう。