文章:石原 敬子(All About「よくわかる経済」旧ガイド)
2008年後半からの急激な景気悪化で、「セーフティネット」という言葉を耳にしない日はないほどになっています。将来の生活不安は、多かれ少なかれ誰もが抱いているもの。そのための「安全網」、どんな備えがあれば安心して暮らせるのかを考えてみましょう。

<INDEX>
日本の社会は空中ブランコ!?(1P目)
拡充されるセーフティネット(1P目)
雇用面のセーフティネット、いまできること(2P目)
場当たり的でないセーフティネットを(2P目)
セーフティネットと自立支援のバランスを(3P目)

日本の社会は空中ブランコ!?

落ちていくお金
サーカスでは、空中ブランコの落下から身を守るための安全ネットが。社会生活上のリスクに備えるために、いま、安全ネットの整備が求められている。
セーフティネットとは、本来、サーカスなどで落下した時にけがをしないよう張る網(ネット)のこと。ある危機への備えを意味する「安全網」という意味で、一般的に、社会的な安全対策を「セーフティネット」と呼んでいます。

その中でも特に、従来は生活保護を指すことが多かったようですが、社会生活上のリスクが多様になったせいか、最近はさまざまな保護制度で「セーフティネット」という言葉を使うようになってきました。例えば、金融機関が破綻した際の預金者保護(ペイオフ)制度もセーフティネットの1つです。

最近では、日本社会で生きるにはまるで空中ブランコにぶら下がるように危険がいっぱい、と言わんばかり。雇用支援、中小企業の資金繰り支援、少子化対策などいろいろな分野で、安全網を張る政策が議論されています。

拡充されるセーフティネット

では、2008年度第2次補正予算案や2009年度予算案では、どのようなセーフティネットが盛り込まれているか、具体的に見てみましょう。

●中小企業の資金繰り支援「セーフティネット貸付」

世界的な金融危機による景気悪化を背景に、中小企業などでは経営環境や金融機関との取引状況が急変しています。そのため、資金繰り困難に陥っている中小企業などに、低い金利で資金を貸付けようという優遇制度が「セーフティネット貸付」です。

2008年度第2次補正予算案の成立後にも開始の予定。政府系金融機関だった国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、農林漁業金融公庫、国際協力銀行の国際金融部門が統合して2008年10月に発足した日本政策金融公庫(日本公庫)が窓口となっています。

●少子化対策

少子化対策のセーフティネットも拡大されます。

2008年度第2次補正予算案においては、妊婦健診の無料化、「認定こども園」整備のために1000億円を投じた「安心こども基金」を設立、第2子目以降の幼児1人あたり3.6万円(総額651億円)の「子育て応援特別手当」支給などで子育て環境を支援します。

さらに2009年度予算案では、出産一時金の現状38万円から4万円の引き上げをして42万円に、第3子目以降の保育料を無料化するなどです。

そして、いま一刻をも争う、雇用問題のセーフティネット。これを次のページで見てみましょう。