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公的資金の資本注入って、ナニ?(2ページ目)

10年ぶりに、公的資金注入の話題が持ち上がっています。この公的資金の注入、金融危機のたびに耳にします。世間では悪者扱いがされることもしばしば。公的資金注入とは、どういうことなのでしょうか。

執筆者:石原 敬子

金融機能強化法改正とは

国会
緊急策として、公的資金の注入枠を2兆円から10兆円に増やすことを審議
政府が、今回の金融危機に対応すべく、急きょ調整をしているのが金融機能強化法改正案です。この法律は、もともと、2005年4月のペイオフ完全解禁を前に施行され、2008年3月末で期限が切れた時限立法でした。

当時は、ペイオフ解禁による金融不安が起きないように、特に地方銀行、第2地方銀行、信用金庫、信用組合などに対して、公的資金注入ができることを盛り込んだ法律でした。今後も使えるように、そして今の状況に見合ったように政府が改正案を調整しているところです。

過去の日本では、金融システム不安の最中の1998年、99年と2003年に、大手銀行にも公的資金を注入しました。その後、その資金のうちの7割が、現在返済されています。

今回の金融機能強化法改正は、金融システムの混乱を予防することが大きな目的で、特定の金融機関の行き詰った経営の救済が主ではありません。「もし今後、金融機関の破たんで危機が広まりそうなら、事前に公的資金の注入を行って予防する」ということです。ある地方の金融機関の経営が悪化し、その地域に影響が出そうな場合、その地域周辺の健全な金融機関にも公的資金で資本増強し、連鎖的な不況を防ぐという点が特徴です。

納税者感情だけでは決めつけられない

公的資金を使うということは、年度の予算を修正しなければなりません。資金源をどこからか調整して用意する必要があります。国債の発行は、将来にツケを回すことになります。筆者も、これ以上国債の残高を増やすことは賛成できません。

しかし、今ここで、あちこちの地域金融機関の経営が悪化し、その地域の中小企業が資金を借りられずやむなく倒産……ということになっては、将来のツケどころではありません。今、生き抜くことすら厳しくなっていきます。

「公的資金=税金」という点ばかりが強調され、税金で金融機関を救って良いのか、という街の声もよく聞かれますが、金融機関そのものを救うことが最終目的ではなく、お金の流れでつながっている地域経済、ひいては日本の経済を救済することだという理解も必要です。

「地域金融を救うために、自治体の裏金を使ってもらったらどうか」などと皮肉も出てきそうですけれどね。

【関連サイト】

「3年で日本経済が全治?麻生政権の処方箋」

「日銀が大英断!?日銀、株式買い上げへ」

「不良債権処理のプラスとマイナス」


【関連リンク】

「金融政策・日銀」
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