(2006.01.24)

防衛施設庁を舞台にした談合事件が批判を浴びていますが、そもそも「防衛施設庁」とはなんでしょう? 耳慣れない名前の役所だと思っている方も多いのでは? わかりやすく解説していきます。

1ページ目 【防衛施設庁の業務~防衛公共事業の中心官庁】
2ページ目 【防衛施設庁の歴史~防衛庁より12年早く設立?】
3ページ目 【なくならないのか「官製談合」この際考えてみましょう】

【防衛施設庁の業務~防衛公共事業の中心官庁】

防衛施設庁は防衛庁の「外局」

防衛庁
市ヶ谷にある広大な防衛庁の官舎。写真:(c)東京発フリー写真素材集
防衛施設庁は、防衛庁の「外局」とされています。

もっとも「防衛庁設置法」第39条には「防衛庁の機関として、防衛施設庁を置く」とあるのみで、外局という言葉は使っていませんが、いちおう外局とみなされています(そうではないという異論もあってややこしいのですが)。

ただ、防衛施設庁には、実は「防衛庁よりも先にできた」という歴史があるのですね。このことが、防衛庁の監視の目を行き届かせにくくしている原因という声も一部にはあります。

くわしくは、次のページで見ていきます。

外局とは?

外局には、おもに2つのものがあります。

 業務内容の膨大さ、専門さから、本体の府省からある程度独立させたほうが効率がよいと考えられ作られるもの。

委員会 半ば中立的に、委員の合議制で決定を行うのが必要とされるものに対して置かれるもの(例:公正取引委員会)。

だから庁というのはたいてい、外局です。防衛庁も、防衛庁設置法第2条で、内閣府の外局であることが規定されています。

また、消防庁は総務省の、社会保険庁は厚生労働省の外局となっています。要するに庁は省のもとで、その任務を果たすものなのですね。

もっとも、外局ではない庁もあります。警察庁、検察庁は外局とはみなされません。また、宮内庁は「内閣府の組織」と規定されているだけで、外局かどうかはあいまいです。

なぜ「防衛庁」だけは「庁」なのに長官は大臣と同じ扱いなのか?

防衛庁の長官は国務大臣でなければなりません(防衛庁設置法第3条)。環境庁が環境省へ昇格した今、「庁」の長官が国務大臣なのは、防衛庁だけですね。

防衛庁は、他の省庁と違い、「自衛隊」という高度な「軍事組織」を管理するところです。この防衛庁の長官が官僚だと、国民のコントロール(文民統制・シビリアンコントロール)が効かなくなる恐れがあります。

そこで、国民の代表である国会議員が原則就任する国務大臣が、防衛庁長官につく仕組みになっているのです。

とはいえ、いつまでたっても外局扱いは……ということで、防衛庁の「省」への格上げを図っている人たちがいます。彼らにとって、今回のスキャンダルは大きな痛手であることでしょう。

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防衛施設庁の解体は防衛庁長官ができる?

額賀防衛庁長官は、「防衛施設庁の解体」ということをいっていますが、いくら外局とはいえ、長官の判断ひとつで解体することはできません。

つまり、官庁や役職の構成などは、法律で決めることが前提だからです。そのため、防衛施設庁の解体を実行するには、防衛庁設置法などの法律改正が必要となります。

また、防衛施設庁の業務は、後ほど説明しますが、たくさんのものがあるわけで、実際には「防衛庁による防衛施設庁の吸収」ということになると思われますので、掛け声だけでできることではない、という意見もあるようです。

在日アメリカ軍の施設も担当する防衛施設庁

楚辺通信所
写真は米軍の通称「ぞうのオリ」楚辺通信所。米軍施設管理も防衛施設長の仕事。写真:(c)沖縄発!役に立たない写真集
防衛施設庁の役割は、「防衛施設の取得と安定的な運用」とされています。

この「防衛施設」には、自衛隊の施設だけでなく、在日アメリカ軍の施設も入っています。

日米地位協定(正式名称:日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定)では、

「合衆国は、相互協力及び安全保障条約第六条の規定に基づき、日本国内の施設及び区域の使用を許される。(後略)」(第2条1項a)

とあり、そして、

「合衆国は、この協定の目的のため又はこの協定で認められるところにより日本国で供給されるべき需品又は行なわれるべき工事のため、供給者又は工事を行なう者の選択に関して制限を受けないで契約することができる。そのような需品又は工事は、また、両政府の当局間で合意されるときは、日本国政府を通じて調達することができる。」(第12条1項、下線部筆者)

とあるため、この調達を行う政府の具体的な部門が、防衛施設庁となるわけです。

騒音対策・漁業補償も防衛施設庁の仕事

また、防衛施設庁は、自衛隊基地や隊員住宅などの施設のための用地取得や建設だけでなく、騒音対策のために学校防音工事や、緑地帯の建設などに費用を出しています。

在日米軍や自衛隊による実弾演習などで漁業が営めなくなった人々に対する漁業補償も防衛施設庁の仕事です。

在日米軍で働く日本人の賃金も防衛施設庁が払っています(平成17年度で約1300億円と結構高い)。これらを総合すると、平成17年度では約5300億円が、防衛施設庁によって使われていることになります。

日本の防衛に関する用地買収・建設事業の中核が防衛施設庁であり、そういう意味では旧道路公団同様、癒着が生まれやすいといえます。

次のページでは、防衛施設庁の歴史を、改めてみていくことにしましょう。

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