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施設に名前をつける命名権、いくらかかる?(2ページ目)

スポーツ施設や公共施設についている企業の名前、一体いくらぐらいなのでしょう。運営費を捻出するこの命名権(ネーミングライツ)ビジネスの現状に迫ります。

執筆者:石原 敬子

12億円支払って、66億円の広告効果?!

サッカー
自分の「名前」の施設で大きな大会があれば、一気に知名度アップに
では、自分の名前を施設につけるには、いくら必要なのでしょうか。それは、それぞれの条件しだいということになります。施設の場所や知名度はもちろん、その施設で催されるイベントや大会などが付加価値となり、契約年数など諸条件とともに命名権の契約金額が決まっていきます。

例えば、味の素スタジアム(東京スタジアム)の場合では、2003年3月1日から5年間の契約で、12億円です。ご存知、JリーグのFC東京と東京ヴェルディ1969の本拠地ですから、広告効果はバツグンです。

味の素スタジアムは、公共施設に命名権契約を導入した国内初のケースです。味の素が東京スタジアムの命名権を獲得した背景には、こんないきさつがありました。

2001年に開業した東京スタジアムは、もともと東京都の第三セクターでした。しかし、石原都知事になり、東京都は経営にタッチをせず、東京スタジアムは独立採算で運営することが決定。東京都がスタジアムを買取り、運営を株式会社東京スタジアムが行うことになって、運営費を調達するひとつの方法として、命名権契約を導入したということです。

ちなみに、5年で12億円を支払い、その広告宣伝効果は、電通の試算によると66億円だそうです。

年間数百万円から数億円までさまざま

いまや、国内でもあちこちで取引されている命名権ですが、2007年6月現在、契約または募集中の命名権は50例を超えています。皆さんがよくご存知の施設では、次のような契約金額となっています。

・日産スタジアム(横浜国際総合競技場)
 2005/3~、5年間で23億5千万円

・Yahoo!BBスタジアム(神戸総合運動公園野球場)
 2003/4~契約終了、2年間で約2億円

・福岡Yahoo!JAPANドーム(福岡ドーム)
 2005/3~、5年間で25億円

・渋谷C.C.Lemonホール(渋谷公会堂)
 2006/10~、5年間で4億円

・中京大学文化市民会館(名古屋市民会館)
 2007/7~、5年間で2億5千万円

この他、最近では地方のホールや体育館に導入するケースが多く、年間100万円程度から数千万円程度と、ばらつきも大きくなっています。

ところで、急速に普及しているように見える、この命名権ビジネスですが、本格的に普及するには、乗り越えなければならない壁がいくつかあるようです。その問題点は、次のページで!
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