(2005.03.20)

小泉首相が「改革の本丸」と位置付ける「郵政民営化」。一方、それに反対する人々もたくさんいます。郵政民営化はなぜ必要なのでしょうか。郵政民営化によってなにがプラスになるのでしょうか。わかりやすく解説してみました。

1ページ目 【小泉内閣の民営化プランと、それに対する反発】
2ページ目 【全国の「郵便」「郵便局」はどうなるのか?】
3ページ目 【郵貯と簡保という巨大な「公的金融」はどこへ行く?】

【小泉内閣の民営化プランと、それに対する反発】

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政府の「郵政民営化」基本方針

小泉純一郎個人の宿願だった郵政民営化。それが、小泉政権ができて以降、いよいよ現実味を帯びてきたわけです。

そして2004年9月、政府は郵政民営化の方針を閣議決定しました。どのような方針か、簡単に解説していきます。

・2007年度に民営化を始め、その後、移行期を経て、2017年までに「完全民営化」を果たす。

・郵政公社の4部門である郵便・郵貯・簡保・窓口ネットワークを分社化し、2007年時点では政府が100%出資する持株会社の子会社とする。

・郵貯と簡保については、2017年までに株式をすべて市場に売却し、完全民営化とする。

・2017年以降も、郵便と窓口ネットワーク会社を保有する持株会社の1/3の株式は、国が保有する。郵便のユニバーサル(全国均一)サービスは確保する。

・郵貯と簡保の民営化前の旧契約については、「公社承継法人」がこれを引きつぐ。

・窓口ネットワーク会社は、郵便・郵貯・簡保会社から窓口業務を委託される代わりに、これらから手数料を受けとって運営する。業務内容も幅広い業務ができるようにする。

窓口ネットワーク」という言葉がさかんに出てきますが、これが郵便局の「窓口」のことですね。いわゆる街の郵便局、全国18000ある「特定郵便局」はこの「窓口ネットワーク会社」になるわけですね。

何が実現し、どんな問題を生み出すのか

これで、何が実現するのでしょう。いろいろあるのですが、ここではわかりやすくするため、あえて2つのことをあげてみましょう。

(1)郵政公社が民営化することによって、国の業務がスリム化され、「民間にできることは民間に」の理念が完成する。

(2)郵貯と簡保という「公的金融」を民営化することによって、多額の資金が市場メカニズムの中で効率的に廻り、経済を活性化する。

しかし、上記のことは、以下のようなことも生み出します。

(1´)郵政公社が民営化してやっていくとすると、はっきりいって今の社員数(40万人、国家公務員の約3割)では多すぎる。社員の大リストラをやっていかないと生き残れない。また、過疎地などにある不採算の特定郵便局は廃止される可能性も高まる。

(2´)今までの「公的金融」資金が効率性のみを重視することによって、非効率分野に資金が流れなくなり、経済は活性化しても反面倒産・淘汰される企業や事業も相次ぐことになる。

郵政民営化論議にからむ数々の利権と利害

さらに、これに利権・利害が絡んでいるから、民営化論議はややこしいのです。

・自民党、特に田中派系(今は旧橋本派)の最大集票マシーンの一つが特定郵便局のネットワーク(全国特定郵便局長会「全特」や、局長OBが集まる「大樹の会」など)である。このネットワーク(35万票は堅いといわれる)を枯れされることは、自民党の存立につながるため、民営化には反対だ。

・民主党、社民党、共産党の有力支持母体である労働組合の中に、全逓(組合員数15万人)、全郵政(組合員数8万人)という大きな組織がある。彼らは当然公務員資格がはく奪される民営化には反対で、当然その意向は支持政党にも反映される。

・郵貯と簡保の「公的金融」資金の多くは、官僚の天下り先であり、また「族議員」とも利害がからむ特殊法人に直接・間接に貸し付けられている。当然、官僚や族議員の多くは「公的金融」が効率化に走り非効率な特殊法人への資金ルートがなくなることを警戒している。

しかし、郵便4事業は国民のためにあるもの。われわれが知らない間に、勝手に利害関係者がこそこそやって、よくわからないことを決められてしまってはたまったものではありません。われわれも、郵便4事業の民営化の議論について、よく知っておく必要があります。

次ページから、とりあえず2点、
・郵便と窓口ネットワークが民営化すること
・郵貯と簡保という「公的金融」が民営化すること
について、考えていきたいと思います。