社会ニュース/よくわかる政治

日本と韓国、竹島問題の基礎知識(3ページ目)

長らく日韓の領土問題としてくすぶっていた「竹島問題」。これがここにきて、にわかに燃えさかろうとしています。竹島は日韓どっちの領土なのか、そして解決法は何か、解説してみました。

執筆者:辻 雅之

1ページ目 【竹島=日本領説の根拠と、それに対する韓国の反論】
2ページ目 【竹島が韓国に占拠されるなか、実現した日韓国交正常化】
3ページ目 【今現在の韓国で巻き起こる「反日」の背景にある事情】

【今現在の韓国で巻き起こる「反日」の背景にある事情】

こちらも要チェック! 政治についての基本知識と基本用語

結局「棚上げ」された竹島領有問題

竹島問題は、日韓交渉妥結を急ぎたい朴正煕によって、まさにのどにささったトゲでした。何とかしたいけど、下手に妥協したら民衆からなにされるかわからないわけで。

アメリカは、竹島を「日韓共有」にしてはどうか、と提案しましたが、そんなこと到底無理と考えた朴正煕は「いっそのこと独島(竹島)を爆破したい」とまで、アメリカ高官に言ってのけていたといいます。

ということで、日韓基本条約にも、同時に締結された(旧)日韓漁業協定にも、また日韓紛争解決交換公文にも、「竹島」のタの字もでてきません。

日韓の紛争は平和的に解決することを約束した「日韓紛争解決交換公文」では、当初「竹島紛争」がある旨を日本側草案に盛り込んでいました。しかし、日本の佐藤栄作首相の判断でこれは削除されました。これは、佐藤の、朴に対する配慮だったのでしょうか。

というわけで、朴正煕と佐藤栄作の間で、暗黙のうちに竹島問題は「棚上げ」されたのでした。

日本海の漁業問題に大きく影響する竹島問題

それから今年で40年。今年は日韓友好年ですし、それをいわなくても「韓流ブーム」で日韓友好ムードは盛り上がっているように見えます。しかし、ここにきてなぜ竹島問題がクローズアップされてきたのでしょうか。

まずは、漁業問題です。新漁業協定で、竹島周辺の海域は「日韓暫定水域」とされ、両国の漁船の共有水域となったのですが、竹島のわりかし近くにある鬱陵島で補給ができ、しかも韓国が占拠する竹島にも着岸できる韓国の漁師さんの方が、圧倒的に有利。

日本、なかでも島根県の漁師さんたちは最低でも隠岐から水域に直行しなくてはならないのですから、どうしても遅れをとってしまう。もちろん竹島にいったら韓国警察がいるので拿捕(だほ)されてしまいます。

そしてこの暫定水域自体、日本のほうに大きく食い込んでいて、日本の漁業には不利だと言われています(下図参照)。それにお魚さんは水域に関係なく泳いでますから、暫定水域で乱獲されると、日本EEZ内の漁獲高にも深刻な影響が及ぶわけで。

それもこれも竹島領有問題がうやむやだからいけない、ということで、今年が竹島の島根県編入100周年にあたることもあり、島根県が「竹島の日」条例をつくり(3/16に可決の見込み)、政府に領有権主張を強力にするようアピールしようとしているのです。これに、韓国が「日本の再侵略開始だ」と猛反発しているのですね。

それにしてもいまなぜ、竹島を含めて韓国では「反日」が盛り上がっているのでしょう?
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます