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二大政党制って何?(3ページ目)

今回の選挙で実現したといわれる「二大政党制」。でも、いままでのしくみと何が違うの? なんで二大政党になったの? そのあたりをわかりやすく解説します。

執筆者:辻 雅之

1ページ【二大政党制って何?】
2ページ【なぜ二大政党制になったのか】
3ページ【二大政党と小選挙区の長所と短所】

【二大政党と小選挙区の長所と短所】
わかりやすいが少数意見はどうなる


A 二大政党制の長所はなんですか。

Q 二大政党制は国民が政権の選択をしやすい、ということですね。A党かB党か、どちらかを選べばいいのだからわかりやすい。なにも大統領制にしなくても、政党の党首が事実上の首相候補なんだから、国会選挙=事実上の首相選挙、ということができます。

また、政治的に安定しやすいのもメリットです。たくさんの政党がひしめきあっているなかでは、小政党がキャスティングボート(「ボード」ではありませんよ!)、つまり決定権をにぎるようになり、政治が小政党にかき乱されてしまう場合もあります。

二大政党制では、どちらかの政党(あるいは政党グループ)が政権を単独で獲得しているわけですから、そんな混乱は起きません。

A 逆に、短所というと?

Q 一番問題なのは少数派の意見がなかなか入ってこないことです。少数意見を代表する政党を排除しているわけですから。

アメリカなんかがうまいのは、がちがちの二大政党といいながら、政党内部の規律がゆるく(なにせ共和党の法案に民主党の議員が投票してもなにもとがめられませんから)、そうした面で二大政党を補完する少数意見が台頭しやすいことがあります。

それから「死票」の問題ですね。死票というのは落選者に投ぜられた票です。小選挙区では獲得票数がたとえば35%くらいでも比較1位になれば当選しちゃうわけですから、そうなると65%もの人の思いがまったく無駄になってしまう。

それに、そんな選挙区ばかりになってしまうと、獲得票数で50%とっていない政党でも辛勝に辛勝を重ねて圧倒的な議席を得ることも可能なわけです。これは問題ですよね。

フランスでは、2回投票制というのをやっていて、1回目の投票で過半数をとった人がいなかった場合、上位2名で決選投票をやっています。これは死票対策としては有効です。時間はかかりますが。

比例代表で復活当選、というのもわるくいわれがちですが、獲得票数が多い人に国会議員へのチャンスを開く制度ですから、これも死票対策としては有効といえますね。

あと、ゲリマンダーの問題もあります。ゲリマンダーというのは怪獣の名前で、選挙区をある政党に有利にするため選挙区をいびつな形にしてしまうことをいいます。理論的に与党はこれやり放題なわけで、そんなことにならないように国民は注意しなければなりません。

A けっこう短所も多いのですね。

Q しかし今までの政治にも短所がいっぱいあったわけですから。二大政党の長所を生かして政治をいい方向にもっていけるかどうか、そういう意味では民主党の責任は重大ですね。
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