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日中戦争にみる政治の失敗(2ページ目)

日中戦争がなぜ長期化してしまったのか。そこには日本政府による外交のまずさがありました。ドイツまで仲介に出ながら早期和平を逃した日本外交とは。

執筆者:辻 雅之

1ページ目 【戦争目的がなかった戦争】
2ページ目 【日中仲介にうごいたナチス=ドイツ】
3ページ目 【日本の「ごう慢さ」が和平を逃した】

【日中仲介にうごいたナチス=ドイツ】
日中戦争は同盟国ドイツの利害に反していた


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日本も事態の収拾を図るため、何度も中国との和平交渉を行いました。しかし、日本の和平案が中国にとってきびしいものばかりだったので、なかなかまとまらなかったのです。

しかし、戦争の長期化は、仮想敵国としていたソ連をよろこばせるだけ。このことを憂慮し、和平実現に動いた人たちがいました。それが、ドイツの外交官、トラウトマンたちだったのです。

ドイツはヒトラーのナチス政権のもと、日本と同じくソ連を仮想敵国におき、1936年には日本と「日独防共協定」を結んで対ソ連防衛を共同で行うことを約束します。

また、ドイツは中国との貿易にも熱心で、特に軍需物資の輸出が好調だったため、中国貿易に期待をかけていたところでした。

そんなドイツにとって、日本と中国の戦争は避けたいものでした。日本は中国との戦争で国力を消耗し、ソ連への備えが薄くなってしまう。一方、戦争によって中国が疲弊すると、せっかくうまくいきかけていた中国貿易がとん挫してしまう。

そこでドイツは、日本陸軍からのはたらきかけもあり、在中大使トラウトマンを中心に、日中和平のための仲介を行うことになったのでした。

しかし、この仲介はうまくいきませんでした。それは、やはり日本の中国に対する「ごう慢」で非現実的な考え方が災いしたのでした。

▼日中戦争開戦当時の4国関係
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