文章:石原 敬子(All About「よくわかる経済」旧ガイド)
いよいよ新しいお札(1万円券、5千円券、千円券)が2004年11月1日から世の中にお目見えします。
では、それまで使われているお札は使えなくなってしまうかというと、そうではありません。新しいお札が発行された後も引き続き使うことができます。
新1万円札
福沢諭吉もデザイン一新、新一万円札(出所:財務省)

<INDEX>
お札の技術革新、偽造作成VS偽造防止(1P目)
どこからどうやって出てくる?新紙幣
塩爺の思惑と実際の効果は(2P目)

お札の技術革新、偽造作成VS偽造防止

●新紙幣、ここが特徴

なんといってもこの新紙幣の特徴は、偽造券の増加に対応するための最新の偽造防止技術を持っているということです。
また、日本銀行券の肖像に女性が採用されるのは初めて(日銀がお札を発行するようになってから初めて)ということもあり、注目されています。

日銀は、新紙幣の偽造防止技術を紹介したパンフレット作成して、新紙幣のどこを見れば真偽が判別できるかなども説明しています。
このパンフレットによって偽札の摘発が増えるのではないかという効果も期待されているようです。

警察庁によると、全国で発見された偽札は、1998年は807枚でしたが、今年前半のは1~6月だけで9,883枚に達しているそうです。
自動販売機や両替機で識別できない偽札など、高度な技術を駆使した偽札が出回るようになりました。
カラーコピー機やパソコンの性能が向上したことが偽造増加の背景にあると考えられます。今後も技術の向上と共にいたちごっこかもしれません。

では、お札のデザイン変更を頻繁にして、偽札の偽造研究が追いつかないようにすれば良いかというと、単純にそういうわけには行きません。新紙幣の開発や印刷のコスト、ATM(現金自動預け払い機)や自動販売機などの対応のコストなどを考えると、そう頻繁には行かないのです。国民にとっても、短いサイクルで紙幣が変更になると、わずらわしいですよね。

●偽札防止にはこんな工夫が
新5千円札
女性の社会進出の象徴?新5千円札(出所:財務省)


・偽造に対する抵抗力を強化するための“透かし”
・肉眼では判別できないぐらい小さい“マイクロ文字”
・見る角度によって像が変わる“ホログラム”
・棒状の模様を透かしで入れた“すき入れバーパターン”

どこからどうやって出てくる?新紙幣

●どのくらい世の中に出回るの?

紙幣は現在約100億枚が流通してます。
新紙幣については、日銀で10月末までに用意するといわれている紙幣の数は、以下の通りです。
・1万円札 約25億枚
・5千円札 約 2億枚
・千円札  約23億枚
合計   約50億枚

財務省では、2005年末までには旧紙幣と新紙幣が入れ替わると見ています。

●印刷されたお札はどういうルートで世の中に出るの?

日本銀行は、日本銀行法第46条に基づき、お札(銀行券)を独占的に発行することになっています。
お札の下の方に小さく「国立印刷局(または財務省印刷局、大蔵省印刷局)製造」の文字が入っていますね。お札というのはは国立印刷局の製品です。用紙製造、印刷ともすべて印刷局(当初は紙幣局)が行っています。

日銀は、印刷局から新しいお札を受け取って、これを本店や地方の支店から世の中に払い出しています。具体的には、 お札は、日本銀行当座預金から金融機関が引き出します。次に、個人や企業は金融機関から紙幣を引き出します。金融機関が、日本銀行の窓口から受け取ることがすなわち、世の中に送り出されるということになります。

次のページでは、新紙幣がもたらす経済効果について見て行きましょう。