9月27日、ミャンマーにおける反政府デモに対して当局の治安部隊が出動し、治安部隊はデモ隊に対して発砲するという事態になりました。ミャンマーはここ最近僧侶も加わって反政府活動が広まっていますが、そこで日本人カメラマンである長井健司さん(50)が、治安部隊と思われる者によって射殺されてしまいました。最近のミャンマー情勢について詳しい内容はこちらでどうぞ。

【CONTENTS】
いくつかある不審な点(1P目)
捜査を決定した日本の警察。上手く進むのか?(1P目)
ミャンマーとの間にはない、犯罪人引き渡し条約(2P目)
どうなる?!今後の2国間関係(2P目)
原因は燃料価格の引き上げ、ということは……?<(3P目)

いくつかある不審な点

ミャンマーの地図
長井さんが殺害されたのは、ミャンマー南部にある最大都市ヤンゴンにおいて。
この事件に関して、すでにミャンマー政府と日本政府の間で見解の違いが生じています。ミャンマー政府の話では、この事件は「デモ制圧の混乱の中で起こった偶発的な事故」とされています。しかしテレビの映像などから見ると、長井さんは至近距離で背後から撃たれています。これは決して偶発的な事故などではありません。

もう1つ不審な点は、長井さんが持っていたカメラ2台のうち、1台がミャンマー政府から返却されてきていない点です。長井さんはキャノン製とソニー製の2台のカメラを持っていて、キャノン製はすでに返却されている遺品と一緒に入っていましたが、ソニー製のものは未だに返却されていません。

これがなぜなのか、謎であるところです。そのカメラに撮られていた映像の中に、ミャンマー政府にとって何か不都合な部分が入っていた可能性も少なからずあると思われます。そのカメラは長井さんが射殺されたデモ中の撮影に使っていたものであり、道路に倒れた後も、それを手に持っていたとされています。ということは、そのカメラに犯人の顔が映っているのかもしれません。

捜査を決定した日本の警察。上手く進むのか?

さて、今後の長井さん射殺犯の捜査はどうなっていくのでしょうか?今回は、刑法の「国外犯規定」というものが適用されて、日本の警察がミャンマーで捜査を進めていくことになるということです。

もともとこの「国外犯規定」というものは、日本人が海外で犯罪を犯した場合に、日本の刑法を適用して処罰できるようにした規定でした。それが2003年に改正され、日本人が国外で重要犯罪に巻き込まれた場合に、日本国内で訴追できるようになりました。今回はそれが適用になったということです。

しかしながら、今回の事件は警察だけで動ける範囲を遥かに超えています。射殺犯がミャンマーの民間人ならともかく、治安部隊の中にいるとなると、ミャンマー政府の協力なしでは捜査は進みません。

→次ページ。しかし、実際に犯人が特定できても、その引き渡しにまだ問題が残っています。