OECDが見た「格差の原因」

今度は生産年齢人口だけではなく全年齢も含めた、貧困層拡大の理由について読み解いてみます。OECDは日本における経済的格差の進行について、大きく4つの理由を挙げています。

1.高齢化の進行
2.労働者間の所得格差の拡大
3.税制の変更
4.社会支出の偏り

1.高齢化の進行

高齢化の進行がなぜ格差・貧困層の拡大につながっているかの理由については、主に以下の3つを挙げています。

1-(1)高齢者は労働所得がないので、高齢者世帯は低所得層になってしまうこと。
1-(2)高齢者間にも所得の格差が進行していること。
1-(3)一昔前に比べて高齢者だけで暮らす世帯が増え、それが低所得の世帯を増加させていること。

2.労働者間の所得格差の拡大

貧困層拡大の2つ目の理由は、日本でもよく主張されている労働者間の所得格差の拡大です。しかしながらフルタイムの正社員の間では、給与の格差は拡大していないとOECDは結論づけています。結局のところは、派遣・契約社員も含めたパートタイマーの増加が、所得格差の大きな要因になっているとしています。

企業がパートタイマーを好んで雇用することについて、OECDは「雇用流動性の確保」を大きな理由としてあげています。つまり、「辞めさせたい時に自由に辞めてもらえる人材」が少しはいないと、人手が余った時に困るから、パートタイマーを雇用しているということなのです。

3.税制の変更

バブル前には国税だけでも所得税の最高税率は70%で、所得に応じて15段階の細かい税率が適用されていました。しかしそれが段々フラット化され、現在では4段階のみで最高税率は37%にしかなっていません。これでは、高所得層がますますお金持ちになります。

4.社会支出の偏り

そして日本における貧困層拡大の原因としてOECDが最後にあげているのは、あまり国内のメディアも取り上げない社会支出、つまり年金や失業保険などの、各種社会保障です。社会支出は国内の経済的格差を解消するために重要な要素ですが、この部分が日本は他の国に比べて弱い、つまり格差是正効果が低いと指摘しています。

前ページで見たように、可処分所得で見ると、日本の相対的貧困層の割合は、調査17ヶ国中高い方から2番目になっています。しかしそれは税金や社会支出による所得調整効果を考慮したものです。税金や社会支出による調整前の貧困層の割合では、以下の表のように日本は16.5%と、むしろOECDの平均よりも低くなっています。

生産年齢人口の税引き前所得による相対的貧困層の割合(2000年)
OECD加盟国の相対的貧困層の割合表
OECD全体の平均は18.2%
出典:「日本経済報告書」(OECD)


では、具体的に社会支出のどの部分がどう偏っているのでしょうか?それを次回掲載予定の(2)で詳しく検証します。


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