(4)将来のリフォームに対応していること

4つめは、リフォームしやすい構造かどうかということです。長く暮らしているうちに、家族構成が変化したり、生活の仕方が変わることはよくあること。新築時と同じ生活が50年、60年と続くことのほうがまれでしょう。したがって、新築当初は最適だったプランでも、十数年後に変更したくなるのはよくあるケースです。「長く暮らせる家」にとっては、リフォームは必要なのです。

いざリフォームというときに、「間取りを変更することができない」とか、「水まわりを移動するのは難しい」などと、制約が多いと、思いどおりのリフォームは実現しにくくなり、住みにくい家に我慢して暮らすことになってしまいます。住まいがリフォームを想定した構造になっているかどうかは、長く暮らせる家として必要な条件だと考えます。

(5)性能を保つための適切なメンテナンス

5つめは、性能を保つためのメンテナンスです。長く快適に暮らすための性能を保つためにも、適切な時期に的確な補修が必要だと思います。また、耐久性が高い素材を使っていても、メンテナンス次第で寿命が変化するものです。フリーメンテナンスであれば簡単ですが、50年、60年と、何もしなくていい建物や素材はありませんし、良好な状態を保つためには少なくとも定期点検は必要でしょう。

車の定期点検のように、一定の期間ごとに各部位をチェックして、一大事になる前に発見できるシステムが住宅にも必要なのです。

そして、こういった点検は、管理組合で管理していくマンションならともかく、個人でを行っていくのは負担が大きく、難しいと思われます。できれば、信頼できる相談の窓口や専門家を確保しておくと、安心でしょう。前述のリフォームのほか、メンテナンスには、住まいの関係書類が必要になることもあります。以下の書類は、必要なときにサッと取り出せるように保存しておくことおすすめします。

・契約書関係の書類(工事請負契約書など)
・保険関係の書類(火災保険や地震保険の契約書)
・新築工事関係の書類(平面図や立面図、基礎伏図、仕様書など)
・建築確認などに関する書類(地盤調査報告書、建築確認申請書など)
・完了検査申請書(写)
・住宅瑕疵担保保険に関する書類(保証証明書、供託書など)

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(6)住まいに対する愛着

6つめは、住まいに対して愛着をもとうということです。自分のこだわりがプランにいかされていれば、こだわった部分をながめるたびにわが家への愛情が深まるでしょう。あるいは、家で家族と過ごした思い出が積み重なることによって、家に対する思いも増していくのだと思います。そして、そういった思いが、「家を大切にしていこう」「適切なメンテナンスをしよう」という気持ちに繋がるのだと考えます。

では、愛着を持ち続けることのできる家づくりをするにはどうしたらいいのでしょうか? それは(3)広がりを感じられる空間づくりのところでも触れましたが、自分のこだわりやお気に入りを取り入れることや、年月が経っても美しいデザインにするといったことで実現できると思います。

古民家

愛着がないと長く暮らせることはできないでしょう

美しいデザインや好みの素材を選ぶためには、情報を集めたり、複数のものを比較検討する必要があります。苦労や努力をしてつくりあげたわが家だからこそ、愛着も生まれてくるのではないでしょうか。

以前、紹介した記事にも書きましたが、作家の林芙美子も、家づくりにあたって200冊近い本を読んだとか。加えて、腕のよい職人さんを探すためにあちらこちらに出向いたそうです。このような努力を重ねて完成した家なら、いつまでも愛情を注ぐことができそうですね。

さらに、簡単なメンテナンスや補修なら、自分で行うことも愛着を深めるよい方法でしょう。DIYで行うにも情報収集が必要ですし、住まいの素材や構造に対する知識を増やすよい機会にもなります。こういったことが住まいの理解を深め、愛着につながっていくのです。

愛着を持ち続けることのできる住まいをつくるためには、すべて人任せではなく、美しい家づくりを心がけたり、こだわりをいかすなどの努力を惜しまないこと。これも長く快適に暮らす家には必要なことではないでしょうか。

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ガイドが考える「長く快適に暮らせる家」に必要な条件は、ここまで説明してきた6つです。このうちひとつが欠けても、不十分だと思います。たとえば、耐久性は十分だとしても、家族の生活に間取りが合わず、リフォームが難しければ、我慢しながら暮らすことになってしまいます。また、風通しや採光が十分でも、耐震性、防犯性などに問題があれば、長く暮らしていくのは心配ですね。

単に長持ちするだけでなく、「長く」「快適に」暮らしていける家を建てたいものですね。
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