◆シロアリの被害はどうやって見つける?
さて、シロアリが発生しているかどうか、素人でもできるチェックポイントをご紹介しましょう。
(1)羽アリを発見した
(羽アリの数が多いほど被害が大きい可能性ありです)
(2)床がブカブカしたり、雨戸や襖などの立て付けが悪くなった
(3)基礎や土台に蟻道(ぎどう)がついている
(4)柱や床板などの木部をたたくと、ポコポコという空同音がする
(5)木材の割れ目に土がつまっている(蟻土/ぎど)
春ごろ、羽アリを見たり、地中の巣から建物に続く蟻道(ぎどう)を見つけたら、かなり危険です。被害の進んだ建物では柱が下がったり、床がゆがんだりするので、建具の立てつけが悪くなることがあるのです。
また、シロアリは木材の内部のやわらかいところだけを食べ、かたいところは残します。これによって、木材の中心部が被害に合うと空洞になり、たたくとポコポコといかにも空洞になっている音がするのです。そして、光や風を嫌いますので、木材のすき間や割れ目に土を埋め込みます(これを蟻土/ぎどという)。
ヤマトシロアリの被害は主に床下に集中しますが、イエシロアリは、柱をつたって天井など、家屋全体に及ぶケースもあります。
木材などのすき間に土を
つめる習性があります。
これが蟻土(ぎど)です。
このような状態になっていたら、
シロアリの被害に
あっている可能性大
◆どうやってシロアリの被害を防ぐ?
では、どうのようにしたら、シロアリからわが家が守れるかですが、防蟻(ぼうぎ)処理には大きく分けて、土壌処理と木部処理があります。
土壌処理とは、床下の土壌の表面に薬剤を散布する方法です。シロアリは地中から侵入してくるので、その通過点となる基礎の内側や周囲の土壌に防蟻剤を散布するのは有効です。そのほか、基礎の内側の土壌表面に防湿シート(ポリエチレンフィルムなど)を敷いたり、土台と基礎の間に防湿シートを敷くなど、地面からの湿気が上がるのを遮断し、乾燥した状態を保つための方法を併用する場合もあります。
木部処理とは、建築に使用する木部に薬剤を塗布または散布するという方法です。一般的に新築の場合は、まず、加圧処理によって薬剤を注入した木材を建築現場へ運びます。さらに、現場で地上から1m超までの木部に噴霧器などを使って薬剤を散布するか、ハケなど使って薬剤を塗るなど、薬剤処理をします。建築途中の住宅の柱の下部や土台だけがほかの部分と色が違っているのを見たことはないでしょうか。その状態が、まさに薬剤によって木部処理をした状態なのです。
また、防蟻剤の中でも有機リン系のクロルピリホスは、今年の7月の建築基準法の改正により、使用が禁止されました。これまでクロルピリホスは、シロアリ駆除だけでなく、農業用の殺虫剤として使われてきましたが、めまいやけいれんなどの中毒症状があることや、周辺環境への影響を考え、禁止となりました。
もちろん、新築の場合は、家を建てる過程で、土壌と木部処理の両方を行うわけですが、既存の建物でも、定期的に対策を施す必要があります。特に、シロアリ駆除を行う会社や防蟻剤の多くが、効果の持続期間を約5年としています。ですから、新築時に念入りに防蟻処理を行ったから大丈夫だというのではなく、定期的に処理を行っておくと安心でしょう。
前述のように、既存の建物も、シロアリの被害を受けないためには、定期的に防蟻処理をする必要があります。防蟻処理は自分でできるものではないので、専門家に任せるべきなのですが、シロアリ駆除の業界には悪徳な業者も多く、消費者からクレームが寄せられると聞きます。たとえば、土壌処理を行うために基礎を壊したり、毒性の高い防蟻剤を使用したり、床下の換気をよくすることを目的に床下換気扇の設置を強要したりするケースがあるようです。
業者に依頼する場合は、使用が禁止されたクロルピリホスはもちろんのこと、どんな薬剤を使用するかは、事前に確認しましょう。非有機リン系の薬剤か、木酢液(もくさくえき)やヒバ油などの天然素材から抽出したものを使用したいものです。ただ、天然薬剤でも、成分や使用方法などによっては、安全性や効果について疑問視する声もあります。社団法人 日本しろあり対策協会で認定されている薬剤かどうかというのはひとつの目安となるでしょう。
それでは被害が集中する住宅と、シロアリを寄せつけないための方策を、次ページで紹介しましょう。