長期優良住宅/長く暮らせる家

古い家なら立て付けが悪くても仕方ないと思ってない? 築30年の若い家と築10年の老け家(2ページ目)

築年数が経つと、ドアの開閉がしにくくなるのはどんな家でも起こることだと思っていませんか? その原因は建具ではなく、建物のゆがみによる可能性があります。何年経っても構造がゆがまない家にするためには…。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド



◆建物がゆがむ原因って?

躯体を支える主要な部分の強度がなかったり、適切な施工がなされず、もともと建物としての耐久性を保持していない欠陥住宅は論外としても、住まいが「老け家」になってしまう、つまり、建物にゆがみが生じる原因としては、以下のことが考えられます。

(1)使用している主要な材料が変化した
(2)柱と梁をつなぐ金具などがゆるんだ(でいた)
(3)不同沈下など


木造住宅では、使用されている木材が湿度などで、そったり狂ったりすることが考えられます。また、シロアリの被害によって、施工当時の強度を保てないケースもあるでしょう。木という素材は湿気があるとシロアリの被害にあいやすいことは「シロアリの好きな家、嫌いな家」でも説明しました。また、木材そのものに原因はなくても、基礎と土台、柱と梁などの接続部分がゆるんでくる場合もあります。最近の住宅では、この接続部分をはじめとして、いろいろなところに金物を使用しています。この金物は耐震・耐久性を高めるために使われるのですが、この金物の取り付ける位置や取り付け方が重要です。ボルトの締め方がゆるければ、金物を使っている意味がなくなってしまうことも考えられます。

木に対して、鉄やコンクリートそのものは素材としては安定していますし、強度もあります。したがって、鉄骨構造やコンクリート造の住宅は、高耐久の住宅を建てるのに適した構造といえるでしょう。ただし、注意しなければならない点もあります。鉄骨や鉄筋はサビに注意する必要があり、雨漏りなどは大敵です。また、鉄やコンクリートという素材は木よりも重いので、鉄骨造やコンクリート造の建物を建てるには、不同沈下を防ぐためにも
地盤を調査し、その地盤に最適な基礎にすることがより重要になります(木造住宅でも地盤調査は必要です)。材料費を含めて考えると、木造住宅に比べ、高コストになってしまうことも否めません。

築年数が経っても家の構造がゆがまないようにするためには、地盤を調査し、それに合った基礎や家づくりをすることが大切です
木造住宅を建てるか、鉄骨造にするかなどは自分の判断基準で選ぶとしても、大切なのは、木の家なら木のことを、鉄の家を建てるなら鉄のことを知り尽くした会社に施工してもらうことです。また、建築後の点検やメンテナンスがどうなっているかもポイントになるでしょう。

◆いつまでも「若い家」のための3つのポイント

ここまでいろいろ説明してきましたが、性能をいつまでも維持できる「若い家」にするための大切なポイントをおさらいしておきましょう。

(1)耐久性の高い素材・建材を選ぶこと
(2)精度の高い施工
(3)適切な点検・メンテナンス


この3つが備わってはじめて、長く快適に暮らせる家になるのです。いくら耐久性のある素材を使っても正しく施工されなければ、その材料がもっている耐久性は発揮されないでしょう。そのうえで、建物が長く快適な状態を保てるようにしなければなりません。

人間の健康管理に定期的な健康診断が必要なように、家の健康診断、つまり定期的な点検・メンテナンスが、築年数に関係のない「若い家」をつくるポイントといえるでしょう。みなさんも、家づくりをするときには、
素材、施工、メンテナンスの3点を忘れずに。

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