長期優良住宅/長く暮らせる家

築11年の実例に学ぶ・家づくりは続くよどこまでも

家を建てた人はどのようにして家を建てたのでしょうか。また、築年数を経て、こうすればよかったと思うことはあるでしょうか? ある家を取材しました。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド

これまで、さまざまな長く暮らせる家づくりのヒントをお話してきましたが、家を建てられた方々は、どのようにして家を建て、年月を経て、住み心地は変化したのでしょうか? 築年数を経て、こうすればよかったと思うことはあるでしょうか。

もちろん、建主の方の家族構成や年齢のほか、諸条件や希望はさまざまですが、実際に建てられた方の「実感」は、体験からくるだけあってとってもリアル。11年前に、注文住宅を建てたTさんにお話を伺ってみました。これから家を建てる人にも参考になることがありますよ。
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築11年目を迎えたTさんの家。昨年、外壁の再塗装をしたばかりだそうです

マンションから一戸建てへ

埼玉県にお住まいのTさんの家は築11年の一戸建て。奥さまと小学生のお子様と3人暮らしです。以前は、3LDKの賃貸マンションにお住まいでした。その住まいには満足していたそうですが、あるとき、水漏れが発生。Tさんの家の排水が下に漏れ、階下の部屋は水びたしに。原因は施工ミスだったのですが、水漏れの発生場所がまさにTさんの家だったことで、原因がはっきりするまで階下の住人はもちろん、管理会社を巻き込むトラブルに発展し、とても気まずい思いをしたそうです。

そんなとき、近所で土地の分譲がありました。Tさんがお住まいの街は、公園が多いため静かで緑も豊か。そのうえ、大型スーパーもあって利便性が高いので、他の街へ引っ越したくなかったそうです。いずれマイホーム取得を考えていたTさん。申し込むと、みごと当選。「分譲地が当たらなかったら、(同じ街で)マンションにしていたかも」というほど気に入っていた街で、土地が手に入ったことによって、家づくりは一気に加速していくことになります。

怒濤の家づくり

突然降ってわいたような家づくりにTさんは翻弄されます。いずれ、マイホームをと考えて貯蓄に励んでいたものの、考えていたより早くその時期が訪れたからです。土地の取得費用は蓄えでまかないましたが、住宅の建築費用はローンを組むことになりました。限られた予算内で希望の家を建てるのは、なかなか大変だったそうです。

住宅展示場をまわり、構造がしっかりしていて、外観デザインが気に入った住宅メーカーの中から、3社に見積もりを依頼。最終的に予算との兼ね合い、営業マンの対応などから、ある住宅メーカーの家を建てることにしました。

こうしてTさんは、晴れて一戸建ての主になりました。4LDKで延べ床面積約100平米、総2階の堂々たるわが家を、30代半ばで実現したのです。

さて、Tさんが建てた家は理想の家になったのでしょうか? それについては次ページで。

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