連日、マスコミを騒がせている「マンション構造計算書偽装問題」ですが、おそらく、2005年の10大ニュースのひとつに数えられるだけでなく、今後、数年、いえ数十年経っても語られる社会問題となるのでしょう。構造に問題のあるマンションやビジネスホテルの数は日を追うごとに増え、くだんの一級建築士の手になる物件だけでなく、デベロッパーや建設会社、検査機関、コンサルタント会社など、建設に関わった会社、機関全てに疑惑が広がる前代未聞の問題となってしまいました。

しかし、この問題、マンションやビジネスホテルなどの大規模な建物だけのことなのでしょうか?

千葉県船橋市は、くだんの設計事務所が構造計算を担当した木造3階建住宅の2棟に対して、構造計算書の「偽造」が発覚したと発表しています。それでは、この大問題は戸建て住宅まで広がってしまうのでしょうか?

構造計算が必要な建築物

戸建て住宅の構造計算書問題を考える前に、そもそも、戸建て住宅の構造計算がどうなっているかを、おさらいしてみましょう。

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木造の2階建て以下の住宅には構造計算をしなくてもよいことになっています

建築基準法第20条では、「建築物は、自重、積載荷重、積雪、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のものとして、次に定める基準に適合するものでなければならない。」とされ、第1項には「建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合すること。」第2項に「次に掲げる建築物にあっては、前号に定めるもののほか、政令で定める基準に従った構造計算によって確かめられる安全性を有すること。」となっています。この、第2項に出てくる「次に掲げる建築物」が、構造計算が必要な建物となります。

それによると構造計算が必要なのは、「イ 第六条第一項第二号又は第三号に掲げる建築物」とあって、具体的には「木造の建築物で3以上の階数を有し、又は延べ面積が500m2、 高さが13m若しくは軒の高さが9mを超えるもの 。木造以外の建築物で2以上の階数を有し、又は延べ面積が200m2を 超えるもの」となっています。

また、そのほかに構造計算が必要な建物として「高さが13m又は軒の高さが9mを超える建築物で、その主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)を石造、れんが造、コンクリートブロック造、無筋コンクリート造その他これらに類する構造としたもの」も上げられています。

構造計算の必要がない木造2階建住宅!?

法令用語なので、よくわかりにくいかも知れませんが、これを戸建て住宅に当てはめて大雑把に言うと、木造3階建住宅や、木造以外の2階建てでも上記の建築基準法の要件を満たす建築物については、建築確認の際に構造計算が必要となってくるわけです。

それでは、木造2階建住宅や住宅メーカーが建てるさまざまな工法の住宅は構造計算の必要がないのでしょうか?  それは次ページで。