一人の絵師のためだけの美術館
ここでは、絵師や弟子にまつわる展示に特化した美術館を紹介します。同じ絵師の浮世絵をじっくり見る時間を作ると、浮世絵師ごとに絵に違いがあることがはっきりとわかるようになります。じっくり、深く鑑賞するのも楽しいものですよ!
歌川広重「東海道五拾三次之内 日本橋」(那珂川町馬頭広重美術館蔵)
◇歌川広重(安藤広重 1797年~1858年)
『東海道五十三次』『名所江戸百景』などの旅もので、大人気だった広重。大胆な構図、はっきりした色合いは、ヨーロッパの画家に強いショックを与えました。
■那珂川町馬頭広重美術館(栃木)
~隈研吾の設計の美術館には、珍しい肉筆画も
歌川広重の版画だけでなく、肉筆画も収蔵する美術館。地元材料を使い、平屋建てに切妻の大屋根を使った建物は、サントリー美術館や根津美術館なども手がけている隈研吾の設計。
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住所:栃木県那須郡那珂川町馬頭116-9
TEL:0287-92-1199
開館時間:9:30~17:00
休館日:月曜(祝日の場合は翌日)、土日を除く祝日の翌日、展示替期間、館内燻蒸作業期間、年末年始
入場料:大人500円、大・高校生300円(常設展のみ。特別展は別料金)
公式サイト
■静岡市東海道広重美術館(静岡県)
~広重の名前を冠した日本初の美術館
東海道の宿場町「由比宿」の本陣跡地に位置する、歌川広重の名前を冠した日本で最初の美術館。広重・東海道三役”と異名をとる『東海道五拾三次』の「保永堂版」、「隷書版」、「行書版」の他、晩年の傑作『名所江戸百景』などをはじめ、風景版画の揃物の名品を中心に約1,400点を数えます。美術館のある由比本陣公園内には、「東海道由比宿交流館」など、江戸の文化を学べる施設も。
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住所:静岡市清水区由比297-1
TEL:054-375-4454
開館時間:9:00~17:00
休館日:月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始
入場料:一般500円、大・高校生300円、中・小学生200円
公式サイト
◇葛飾北斎(1760年~1849年)
『富嶽三十六景』や『北斎漫画』など生涯に3万点を超える作品を発表した北斎は、現在に至るまで世界中のアーティストに影響を与えています。浮世絵版画だけでなく、肉筆画も多く手がけました。
■北斎館|葛飾北斎肉筆画美術館(長野県)
~晩年の北斎が描いた肉筆画
晩年に長く逗留した小布施の地で、80代半ばの北斎は、この地の二基の祭り屋台と寺院に天井絵を描きました。この祭り屋台の天井画や肉筆画などを展示する美術館です。
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住所:長野県上高井郡小布施町大字小布施485
TEL:026-247-5206
開館時間:9:00~17:00、(12月31日、1月1日 は時間短縮開館)
入場料:大人500円、大・高校生300円(常設展のみ。特別展は別料金)
公式サイト
◇河鍋暁斎(1831年~1889年)
幼少の頃、歌川国芳に浮世絵を学び、その後、狩野派絵師として幕末から明治前半にかけてさまざまな作品を残した絵師。精緻な仏画から、世相を鋭く風刺した浮世絵、妖怪画まで手がけた暁斎の作品は、大きな支持を受け、後の風刺画にも多大な影響を与えました。
■河鍋暁斎記念美術館(埼玉県)
~切れ味するどい幕末から明治期の狩野派の絵師
河鍋暁斎や、娘の暁翠をはじめ一門の作品、約3200点を収蔵する美術館。ちなみに、丸の内の三菱一号館美術館を設計した建築家、ジョサイア・コンドルも日本画を学ぶために入門し「暁英」という号を与えられたそう。
暖かいな雰囲気の美術館には、作品のほか、下絵や画稿など作品完成までのプロセスも展示。作品がどのようなプロセスを経て完成するのかも理解できます。美術館内にときどきいらっしゃる、河鍋楠美館長(暁斎のひ孫にあたる)は生粋の江戸っ子。そのチャキチャキな様子からも、暁斎のパワーの片鱗を感じられることも。
住所:埼玉県蕨市南町4-36-4
TEL:048-441-9780
開館時間:10:00~16:00
休館日:木曜(祝祭日は開館)、毎月26日~末日、年末年始
入場料:一般300円、中・高・大学生200円、小学生以下100円(常設展のみ。特別展は別料金)
公式サイト
お土産にもおすすめ 美術館はオリジナルグッズが豊富
浮世絵を扱う美術館は、オリジナルグッズを数多く取り揃えています。絵はがきなどのオリジナルグッズは、東京国立博物館ほか、多くの美術館で販売されています。絵はがきなど、ちょっとしたご挨拶のお手紙に使用するのも風流でいいですね。
「ニューオータニ美術館 しおりセッ
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平木浮世絵美術館では、オリジナルの手ぬぐいや石鹸セットが。ちょっとしたギフトに喜ばれそうですね。
浮世絵のある美術館は、全国にはまだまだたくさんあります。色鮮やかな浮世絵を実際に見てみてくださいね。