夫婦が仲よくなれる家とは?

夫婦仲良く暮らしたい

 

長く暮らせる家というのは、住宅の性能だけを追求すればいいというわけではありません。やはり、そこに住む人々の人間関係も、良好で、長続きしなければ……。つまり、家族がいつまでも仲よく暮らせることは、長く暮らせる家の重要な条件のひとつなのです。

家族の最小単位は「夫婦」です。だから、夫婦が仲よくなれる家こそが長く暮らせる家だといっても過言ではないでしょう。でも、巷で聞こえてくる「夫婦仲」に続く言葉といえば、「熟年離婚」に代表されるように、「悪い」が多数派になりつつあるように感じます。

「夫婦関係」ガイドの三松さん。1ヶ月間で200件の相談に対応するのだとは驚きです

「夫婦関係」ガイドの三松さん。1ヶ月間で200件の相談に対応するのだとは驚きです

そこで今回は、同じオールアバウトの中でも「夫婦関係」のガイド 三松真由美さんと、「夫婦が仲良くなれる家」についてお話ししました。三松さんは、全国規模の主婦ネットワークを築き上げたのち、「恋人・夫婦仲相談所」を運営。常に主婦の悩みや不満をキャッチして社会に発信し続けています。三松さんの詳しいプロフィールはこちらから

はたして、いつまでも夫婦仲よく暮らせる家とは、どんな家なのでしょうか?

夫婦仲と寝室事情は正比例する!?

ガイド:まず、三松さんが運営されている「夫婦仲と性の相談所」のことを教えていただけますか?  

三松:夫婦問題に悩んでいる人がくる相談所で、主にテーマは寝室問題なんです。セックスレスとか、不妊、夫の浮気など、寝室問題に特化した悩み相談を受け付けています。こういってはなんなんですけど、アダルトとかエロではなくて、本当に夫婦関係に悩んでいる人がくる相談所なんです。

ガイド:具体的には、どんな方法で相談に対応しているのですか?

三松:主にメールと対面相談ですね。だいたい月に200件くらい受け付けています。あまりにも多いので、メール相談はボランティアの方と一緒にやっています。  

ガイド:月200件ですか!すごいですね。主な年齢層はどのあたりですか?

三松:パソコンでも携帯でも相談できるので、20代の若い主婦から30代・40代など幅広い層から相談を受けています。  

ガイド:相談者には、具体的にはどんなお話をされるのでしょうか?

三松:
私の持論は「夫婦仲と寝室事情は正比例する」というものなんですが、まずはそこから改善しましょうという話をします。もちろん、日常のコミュニケーションをとることからはじめましょうと、アドバイスするんですけれど。
寝室

三松さんによれば寝室がキーポイントなのだそうです


ガイド:夫婦が仲良くなれる家のポイントは寝室ですか……!?

三松:そうです!寝室が大事なんです。

寝室を別にする場合は掟をつくろう!

ガイド:寝室といえば「夫婦の寝室を分けたほうがいいのか」ということがよく話題になりますが、建築家の間でもそれぞれ持論があって、意見が分かれているようです。三松さんはどうお考えですか?

三松:
必ずしも同室にこだわっているわけではありません。夫婦それぞれの事情がありますから。例えば、エアコンの温度でも、夫婦の間で適温が異なっていたり、どちらかのいびきや歯ぎしりで眠れないとか……眠れない要因を取り除くという意味では、別室がいいかなと思います。若い夫婦でも、夫の帰宅がすごく遅いと、妻はストレスを感じるたりするんです。朝早く起きて、子どものお弁当をつくらなければいけないこともありますから。そうなると、やっぱり分けたほうがいい。

ガイド:ケースバイケースですね。

三松:大切なのは「一緒に寝る」時間をつくるということで、別室か同室かではないんですね。別室になることで、夫婦仲が悪くなってはいけないので、寝室を別にする場合は「掟をつくろう」とアピールしています。

ガイド:「掟」ですか?

三松:そう「掟」です。例えば、いつもは別室で寝ていても、月に1度は一緒に寝ましょう、とか。必ず一緒に寝るという日を決めておくといいですね。夫婦間で何かしらのルールをつくるんです。それから、別室で寝る場合も、理由を言うことがポイントですね。明日は早いからとか、エアコンが寒いから夏の間だけとか。

ガイド:夫婦でルールがつくれるほどたくさんのコミュニケーションを持つことが大事ということですね。

三松:お互いに意見を言い合って、ライフスタイルにあった別室・同室が選べればいいと思うんです。別室でも、コミュニケーションさえあればいいんですよ。

ガイド:そこで無言で勝手に自分の部屋に入ってしまうと、それはちょっと冷たい雰囲気になるんですね。

三松:そうですね。冷えきった夫婦が寝室を別にすると、その後ずっとそのままで、関係を回復できないケースが多いです。

ガイド:決まりをつくるということも、割とハードルがありますものね。

三松:あります! コミュニケーションができていないと、そういうことは言えないですから。最初から「別室でお願いします」みたいな感じになってしまいますね。

……いきなり寝室の話になってしまいましたが、月に200件もの夫婦問題の相談を受けている三松さんのお話は、とてもユニークながら的を射ているようです。

家をカスタマイズできるとうれしい

ガイド:家をつくるとき、そういうことは建築家やハウスメーカーには相談しにくいですよね。夫婦の事情を話すわけですから。それから、日本の住宅事情を考えると、余分に寝室を用意するのも難しそうです。

三松:だから融通が利くようにしておけばいいんですよ。ひとつの部屋をパーテーションで区切れるようにするとかで。一緒に寝るときには、どちらかに移動するとか、パーテーションを取り除くとか、お互いの意見を聞いてアレンジするといいんです。週末だけ同室にするとかもアリです! いつも同じパターンだと飽きちゃうし、飽きちゃうと夫婦仲にも影響します。

ガイド:住宅に可変性があればいいというわけですね。

三松:そう、カスタマイズできるといいですね。100組の夫婦がいれば100パターンの夫婦関係がありますし、歳を経る間にも夫婦関係はいろいろ変化しますから。

ガイド:コミュニケーションをよくしてカスタマイズするのがポイントですね。

キッチンと浴室も大事なポイント

三松:やはり、没コミュニケーションだと夫婦仲は悪くなりますよ。どんなに広い家でも無理です。ただ、家によっては、コミュニケーションが戻るきっかけになることもありますよ。

ガイド:どんな家なんでしょうか?

三松:例えばキッチン。キッチンを少し広くして、妻が料理するのを夫が手伝えるようにするんです。手伝ってくれた夫に妻が「ありがとう」と言えば、会話のきっかけになりますし、そこから会話を膨らませられればコミュニケーションを深めることができるでしょう。
キッチン

夫婦二人でキッチンに立つと会話が弾み、料理をつくったという達成感も味わえると思います


ガイド:
なるほど。

三松:あと、寝室と同じで浴室も大事ですよ。以前、「夫婦でお風呂に入るなんて……と馬鹿にせず、洗いっこバスタイムで夫婦の絆を」という記事を書いたらものすごいアクセスがあったんですけれど、浴室も夫婦仲改善のきっかけにできるんですね。

ガイド:一緒にお風呂に入ることも大事だと。

三松:すごく大事です。詳しくは記事を読んでいただくとして、夫婦で盛り上がれる場所にできればいいんですね。会話が大事なんです。浴室だと、リビングより深い会話ができますから。  

ガイド:バスルームをゆったりとるというのもポイントですね。
浴室

浴室ではゆったりできる工夫を凝らしてみるといいかもしれません


三松:
照明や浴槽の色と形もポイントですよ。照明にこだわったり、ミストやジェット噴流などの仕掛けも重要です。要は、普通の浴室ではなく、もっとムーディなものにして会話を深める道具に使うんですね。

ガイド:最近の浴室はヒーリングライトがついていたり、音楽が聴けたりしますからね。

三松:それはいいですね。ただテレビはダメです。テレビをつけると夫はそっちを見ちゃいますから。お風呂は夫婦仲再生の場というのが持論なんですが、毎日一緒に入っちゃダメ。飽きちゃうから。やっぱり月に何回かというところでしょうか。

ガイド:習慣になっちゃダメなんですね。

三松:そうなんです。スペシャルな感じがいいんです。恋人同士の気持ちになれるというのがいいんです。だから、浴室のあかりを消してバス用アロマキャンドルを浮かべるだけでもいいんですよ。家にお金をかけなくても、工夫次第で夫婦仲をよくできると思います。

大人の世界をつくる

ガイド:逆に、夫婦仲が壊れるきっかけが多い家もあるんですか?

三松:家族みんなの空間しかない家というのは、ちょっとつらいかもしれませんね。時流からは外れるかもしれませんが、オープンすぎる間取りはよくないかもしれません。どこか見せない所をつくるとか、夫婦2人だけの大人の空間を設けるといいと思います。

ガイド:リビング・ダイニングなどを中心にオープンな間取りの家は多いですよね。そして、お子さんが小さいうちは子ども部屋もつながったふた部屋を兄弟で使うというケースもよくみかけますが、主寝室はあくまでも別だと……。

三松:そう、家全体がどこもオープンだったら夫婦仲は悪くなりますよ。日本の住宅には、ふたりっきりの空間がないですね。だから、私はことあるごとに、あえて大人の空間をつくらないとダメと言っています。日本では、まだまだ子どもと一緒に寝ている家庭が多いですからね。夫婦2人のコミュニケーションを深める場所をつくらないと。

ガイド:欧米では、夫婦の寝室は「子ども立ち入り禁止」ですよね。

三松:隔離された大人の世界が守られているんですね。そういう点では、海外は上手です。寝室のインテリアも、やたら健全なのが日本なんですね。イタリアなんて寝室だけ妙にエロティックなんですよ。赤のシーツとか、照明も間接照明で調光できるとか……。

ガイド:大人の世界ですねー。
07203370.jpg
とにかくコミュニケーションが大切なんですね。お話はつきません・・


三松:
要は、夫婦間のコミュニケーションが深められる空間が必要なんですね。2人でくつろげて、ポジティブになれる場所があればいいわけです。その代表が寝室であり、浴室であるんです。住宅事情が許さないのであれば、別な方法でコミュニケーションを深められればいいんですね。

三松:それから、日々の生活の中で受けているストレスを軽くすることも大切です。ストレスを受けると、没コミュニケーションになりますから。夫は仕事のストレスを、妻は家事や子育てのストレスを軽減できるきっかけが必要です。

ガイド:それはどうやって……?

三松:気分や雰囲気を変えることなんですけれど。気分が変われば夫婦仲も変わりますから。だから、新築はもちろん、リフォームや増改築などの大掛かりなことをしなくても、夫婦仲がよくなる家はつくれますよ。

ガイド:部屋の模様替えでも大丈夫ということですか。変えないのがよくないということですね。そういえば、欧米では、模様替えを日本よりずっと頻繁に行うという話を聞きますものね。

三松:カーテンを変えるだけでもOKです。カーテンは、部屋の雰囲気を手軽に変えられますからね。それに、そんなに費用もかかりませんし。

ガイド:カーテンも模様替えも、工事がいらないですからね。そのときに1人でやらないで夫婦一緒にやってみるとよさそう。共通の話題があれば、会話も増えますから。 

夫婦仲よく

夫婦が仲よく暮らすにはコミュケーションをとることが大切です


三松:
そう考えると、家づくりは最もいい機会ですよ。一から話し合わないといけないですから。それぞれの要望を言い合ったり、互いの希望を聞くことで、かなりコミュニケーションが深まりますよね。

ガイド:そうやって夫婦の世界をつくればいいというわけですね。

三松:そうですね。

……いかがでしたか?

深刻な夫婦の問題の相談に対して、明るく率直に対応している三松さんらしく、夫婦仲がよくなる家について興味深い持論を展開していただきました。そして、夫婦が仲よく暮らすためには、お互いに自分の欲求をうまく相手に伝えられる場が必要だということもわかりました。

子育てが終わった夫婦が、子ども部屋を夫婦それぞれの個室として利用しているケースを見かけますが、個室があってもそこにこもって、没コミュニケーションではダメということです。日本の住宅事情でもお金をかけずに「夫婦が仲よく暮らせる家」はできるはず。いろいろ工夫して、実現を目指しましょう。


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