片付かない部屋を眺めて「もっとスッキリ暮らしたい」と思ったことはありませんか。へーベルハウスが行った調査によれば、取り出しやすくしまいやすい収納こそがだしっぱなしを防ぎ、常に片づいた状態を維持できるのだとか。今回は、この調査から導き出された収納の考え方、つくり方についてみていきましょう。
部屋が片付かない原因は3つの「ぱなし」
わが家もそうなのですが、何となく雑然としていて片付かないと感じるのは、部屋の中の至る所にものが置かれているから。使った後もだしっぱなし、次に必要になるまでおきっぱなし、後で片づけようとそのまま放置・・。気がつけば、あちらこちらにものが散らばったままになっています。スッキリとした暮らしとはほど遠いのが現状です。
家族が集まるリビング・ダイニングにはこんなにたくさんのものがあります。これらがうまく収納されないと、雑然とした部屋になってしまいます |
へーベルハウスでは、入居者宅を訪問して、収納と片付けの実態調査を実施。収納量、収納されているもの、収納に入りきらないものの実態を調査し、分析した結果、なぜかものが散乱していて、片付いていないというお宅は、ものが「だしっぱなし」、「おきっぱなし」、「かけっぱなし」になっているからだということがわかったそうです。
ということは、この3つの「ぱなし」を解決できれば、常にすっきりとした家になるというわけですね。
「だしっぱなし」の解決は浅い収納で「パッとわかる」ように
今回の調査からへーベルハウスでは、「だしっぱなし」を解決する方法として、「パッと見てわかる」収納にすることを提案しています。
収納の基本的な考え方として、よくいわれることに「適材適所」という言葉があります。使う場所に使うものすべてがおさまるように、収納を確保するという考え方です。確かに、いざ必要となったときに離れた場所に道具を取りに行き、使い終わった後、わざわざしまいに行くのでは、不便でしかたがありません。そのうちに「おきっぱなし」なってしまうことでしょう。それを防ぐには、そこではどんなものを使うのか、どのくらいの量が必要なのかを把握して、適切な場所に収納を確保すべきです。リビング・ダイニングを例にとって考えてみましょう。リビング・ダイニングには、新聞や雑誌、文房具類、家電製品の取り扱い説明書、救急箱、書類や郵便物など、ビデオやDVDなど、さまざまなものがあります。へーベルハウスの調査によると、リビング・ダイニングにあるこれらのもののほとんどが「奥行き30?」に収まり、奥行きが深いとかえって使いにくくなることがわかったそうです。さらに、量については、壁面積にして必要なのは約7?と算出しています。
奥行きが浅ければ、引き出しや扉を開けたとき、パッと見てほしいものがどこにあるのかわかるので、使い勝手がよく、使った後もしまいやすい収納になります。必要な収納量は家族構成や生活スタイルによって異なり、一般に学齢期のお子さんがいる家庭ではものが多くなるようですが、ほとんどの場合、壁面積で約7?で足りることが調査でわかっています。
30?の奥行きで7?と聞くと、それだけで足りるのかなあと思ってしまいますが、前出の写真のものはすべて、このスペースにきちんとおさまります |
リビング・ダイニングのように、家族が集まる場所は、ただ収納量を確保するのではなく、奥行きの浅い収納をとることが重要なポイントとなるようです。奥行きが深いと、しまってあるものがぱっとわからなかったり、取り出すのが面倒になってしまいます。取り出しにくいということは、しまいにくいということ。これにより、だしっぱなしを防ぎ、常に片付いたリビング・ダイニングを維持できるわけですね。
次のページでは、「おきっぱなし」と「かけっぱなし」を解決する方法について説明していきましょう。