資産を評価する人は自分だけではない
住宅は資産です。資産である以上、「価値は高いほうがいい?」と問われれば、「はい」と答えるに決まっています。ただ、自分で住むための家であれば、他人が資産として高く評価しようが、低い評価をくだそうが、生活そのものに影響はないでしょう。ですから、自分にとって、その家が快適で居心地がよければ、資産価値など、どうでもいいと思う人がいても無理はないのですが、実は、そうでもないのです。自分で住むための住宅であっても、いろいろな視点で資産としての価値を考えたいものです |
住宅の資産価値は、次の3つから判断されるものだと、私は考えます。
・個人から見たときの価値
・他人から見たときの価値
・街から見たときの価値
では、なぜ3つの視点から住宅の資産価値が判断されるのか、順に説明してきましょう。
個人から見たときの資産価値
ひとつめの個人から見たとき価値とは、住み手自身が住まいをどう評価するかということです。自分が住むための家であれば、当然のことながら、一番重要なのは住み手であるあなた個人の評価です。住み手の価値が高くないということは、不満の多い家だということになります。住み心地のよくない不満ばかりの家には愛着もわかず、長く暮らすことはできそうにありません。その家について、住み手がどのくらい価値を認めているかどうか、これが最初の視点です。
他人から見たときの資産価値
ふたつめの視点は他人です。住宅は資産である以上、他人が評価することがあります。それは、自分で住む以外の可能性があるからです。自分で住む以外の可能性とは、具体的には売却したり、人に貸したりするケースのほか、土地や建物を担保として融資を受けるような場合です。いろいろ心を砕いて満足のいく家を建てたとしても、長い人生のうち、引っ越しのために売却したり、転勤などで賃貸にすることは十分考えられます。
そういった場合は、自分が最高の評価をしている建物であっても、他人が同様に高い評価をしてくれなければ、売却額が下がってしまったり、なかなか借り手が見つからないということもあります。その結果、新しい家を買うための資金計画に修正が必要になったり、事業計画の変更を余儀なくされるかもしれません。
つまり、住宅であっても、自分で住むという以外の視点をもつべきなのです。家を建てるときには、独りよがりにならずに、他人から見たときの視点も忘れず、他人からも一定以上の価値を認められる建物にしたほうがよいのです。
次ページでは、街から見たときの価値について説明していきましょう。