多くの人が望む暖かい家
「メンテナンス無しだった家が大変身!」で紹介したMさんは、以前、真剣に住み替えを考えていました。その理由は「寒さ」です。Mさんの家は築40年ほどの木造住宅。当時としては標準的な家でしたが、現在の住宅と比べると断熱性能は劣ります。さらに老朽化にともない、窓を全て閉めていてもカーテンがそよぐほど外の空気が入ってくるなど、気密性能も落ちていました。そのため冬は室内がとても寒く、Mさん自身も耐えられなくなってきたので、家を建て替えるか、もっと暖かく暮らせる家へ住み替えることを考えはじめました。私は仕事柄、新築住宅の建て主のお話を伺う機会がありますが、実際、Mさんのように前の家の寒さについて不満を持っていた人はたくさんいます。「暖かい家」は、住宅に対する要望の中でも、比較的高いもののひとつといえるでしょう。中には「以前の家は結露がひどく、とても寒かったので、1年を通して家のどこでも快適温度であることが、新しい家の重要なポイントだった」と語る人もいます。この方は、新たに建てた家で「1年中家全体が快適温度」を実現しています。
体感してわかる高断熱住宅の実力
断熱性の優れた家は、トイレを含め全体が快適な温度に保たれています |
この快適さは、体感するとよくわかります。リビングやダイニングだけが暖房機器により暖かいのではなく、暖房を切った後、夜中に起きてトイレに行っても、早朝の洗面室でも、「寒い!」と感じることはないのです。もちろん気密・断熱性の高い家には、冷・暖房費が節約できるというメリットもあります。冷房時にも効果を発揮し、一度、室温が冷やされれば、小さな負荷でその涼しさを持続できるのです。
ただ、現在建てられているすべての家が、このような性能を持っているわけではありません。前回の記事でもお話しましたが、建築基準法をクリアしただけの住宅では、このような性能を発揮できないでしょう。それではマンションではどうでしょう? 最新のマンションには気密・断熱性が高い物件がたくさんあるようです。このようなマンションなら「家中どこでも快適温度」は当たり前なのでしょうか?
次のページでは、最新の戸建て住宅とマンションの違いから、住宅の断熱性能について考えてみましょう。