不動産売買の法律・制度/不動産売買の法制度

住宅瑕疵担保履行法とは?(2ページ目)

10月1日に施行された「住宅瑕疵担保履行法」。この法律は、欠陥住宅の購入者を守ることが目的。例え業者が倒産していても保険金が支払われ、補修工事が受けられます。どんな内容なのか説明しましょう。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

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保証の対象となるのはどの部分?

住宅の瑕疵として保証の対象となる部分は決められています。

例えば、木造住宅の場合は、構造上主要な部分(基礎や柱、土台など)と、雨水の浸入を防止する部分(屋根や外壁、開口部など)です。

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基礎は住宅の性能に大きく関係する部分。もちろん、保証の対象箇所です
構造や雨漏りといった住宅の基本となる部分を対象としています。ですから、壁紙のはがれや、フローリングの傷といったことは、この法律では補修工事の対象にはなりません。このことは、構造計算書の偽装事件の教訓をもとに法律ができていることを考えれば、よくわかりますね。

保険加入住宅のメリット1

「住宅瑕疵担保履行法」の施行により、業者は保険加入か供託を選ばなければなりませんが、私たち購入者の立場からすると、保険加入の住宅には、いくつかのメリットがあります。

保険加入住宅のメリット1つめは、工事中に検査があることです。

住宅瑕疵担保保険は、着工前に申し込まなければなりません。それは保険に加入すると、工事中に保険法人の検査員による現場検査があるからです。検査員は建築士などの専門家であり、保証の対象となる屋根や基礎などをチェックします。工事中に第三者の検査が入ることで、工事の精度を高めることができるのも大きなメリットではないでしょうか。

なお、住宅瑕疵担保保険を扱うのは一般の保険会社ではなく、国土交通省が指定している会社です。

保険加入住宅のメリット2

保険加入住宅のメリット2つめは、「住宅紛争審査会」に調停を申し込めること。

購入した新築住宅に瑕疵があった場合は、まず、どこにどのような瑕疵があるのか、どのような補修方法があるのか、どのくらいの費用や期間がかかるのか、業者とよく話し合うことになります。

しかし、業者の言うことに納得できなかったり、収拾できない事態になることもあるでしょう。そんなとき、保険加入の住宅なら、まず無料で「住宅紛争支援処理センター」の電話相談や、弁護士などの専門家との面談を受けることができます。それでも、解決できない場合は、1万円で「住宅紛争審査会」に調停を申し立てることができるようになっています。

「住宅紛争審査会」には弁護士や建築士などの専門家がいて、業者と自分との間に入ってくれるので心強いですね。しかも、1万円と金額がはっきりしているので、費用の心配をしないですむのもいいところです。

契約前に保険加入か供託かを確認

前述したように、保険加入や供託をしなければならないのは業者ですが、万一のとき、この法律によりメリットを受けるのは私たち住宅購入者です。

自分が購入した住宅が保険に加入しているかどうかは、契約書類に保険内容が記載されているので、ここで確認できます。そして、引き渡しのときに保険の証明書を受け取り、保管しておきましょう。これらの流れは、注文住宅の建築でも、戸建てやマンション購入でもだいたい同じです。業者が供託を採用している場合でも、契約時には説明の義務があります。

家づくりを予定している人は、検討している住宅メーカーなどにどちらを選択するのか、事前に聞いてみましょう。
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