日本の住宅照明は、蛍光灯の普及率が約80%と言われています。先進国の中では無類の蛍光灯好きの民族といえるでしょう。何故これほどまで蛍光灯が住宅に普及したか、いろいろな説がありますが、ここでは有力説を4つほどご紹介しましょう。
1)少ない電力で明るい。
2)ランプ寿命が長い。
3)高温多湿の気候風土にあの白い光が涼しげである。
4)影の少ない柔らかな光は明かり障子の光に似て感覚的に受け入れられる。
省エネ、経済的、雰囲気といったところがポイントでしょうか。どれか1つというより、全てに関係しているといえるでしょう。
最近の日本の住宅照明を見ると、ちょっとした異変が起こっています。20年前をピークに住宅照明への蛍光灯の普及率は微妙に低下しています。たしかに、集合住宅の窓明かりを見ていると、それまで白っぽい光で生活していた様子が電球のような暖かな光に少しづつ変ってきています。
前ページで、初期の蛍光灯は「光が白い」と書きましたが、今日では、白熱電球のような光を出す「電球色」タイプもあります。こちらは、落ち着いた雰囲気が好きな人にお勧めです。赤みがかった光がお部屋に温かみを感じさせてくれるでしょう。ランプを取り替えるだけで、雰囲気が変わります。
電球色の光が温かみだとしたら、白色の光はさわやかな雰囲気には格好な光です。
これから暑くなる季節のことを考えると、むしろ白色の蛍光灯の方がいいのかもしれません。寒くなってきたら、電球色に変えてみたり、季節ごとに照明も楽しみましょう。
お部屋の模様替えに家具を動かすのは大変です。でも、ランプを取り替えるくらいなら、そんなに手間ではありません。蛍光灯の照明器具を使っている人は、是非、一度試してみて下さい。
電球色の多い集合住宅の明かり(ロンドン) |
明らかに蛍光灯と思われる集合住宅の明かり(日本) |
参考文献:明かり文化と技術 1988、照明普及会創立30周年記念出版委員会編集